Stop受動喫煙 たばこの害を正しく知りましょう

たばこが取り巻く現代社会

たばこを吸わない人が、たばこの煙を吸わされてしまうことを「受動喫煙」と言います。日本では、受動喫煙が原因で年間1万5千人が死亡していると推計されています(注釈1)。

(注釈1)受動喫煙による年間死亡数推計値(厚生労働省「喫煙と健康喫煙の健康影響に関する検討会報告書2016」)

健康増進法では、喫煙が及ぼす健康への悪影響を防ぐため、受動喫煙の防止を促進しています。平成30年7月に健康増進法の一部を改正する法律が公布され、平成31年1月に屋外での喫煙に配慮が求められるようになりました。また、同年7月には学校・児童福祉施設、病院・診療所、行政機関が「敷地内禁煙」になりました。令和2年4月からの全面施行により、レストラン等の飲食店、事業所等が「原則屋内禁煙」となり、これまで「マナー」だったことが「ルール」に変わりました。

なぜ、たばこは体に害なのか

たばこの煙には200種類以上の多くの有害物質が含まれています。

これらの有害物質が体に様々な悪影響を及ぼします。

1がん

有害物質のひとつである「タール」は発がん物質を多く含んでおり、のどから気管を通って肺で吸収され、血液にのって全身を回るため、すべての臓器が発がん物質の影響を受けます。

たばこを吸う人のがん死亡率(男性)は、たばこを吸わない人に比べ、1.5から32.5倍に上昇します(注釈2)。

  • 喉頭がん32.5倍
  • 肺がん4.5倍
  • 咽頭がん3.3倍
  • 食道がん2.2倍
  • すい臓がん・膀胱がん1.6倍
  • 肝臓がん・胃がん1.5倍(注釈2)「平山雄による計画調査(1966から1982)」

2心臓病

有害物質である「ニコチン」と「一酸化炭素」は動脈硬化・高血圧を引き起こし、心筋梗塞・虚血性心疾患による死亡率を高めます。

3脳梗塞

動脈硬化を引き起こすたばこは、脳梗塞の原因にもなります。

4肺疾患

たばこの煙の刺激により、気道が慢性的な炎症を起こし、慢性気管支炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)にかかりやすくなります。

5胃・十二指腸潰瘍

有害物質である「ニコチン」が胃や十二指腸の血管を収縮させ、粘膜の抵抗力を弱めるために潰瘍ができやすくなります。

6歯周病

たばこを吸うことで歯ぐきの血流が悪くなる、また細菌叢が変化するなどの理由で歯周病にかかりやすくなります。

7皮膚の老化

皮膚の血流が悪くなり、シミやシワ、たるみ、くすみなどの肌トラブルが生じます。

8ニコチン依存症

ニコチン依存症とは、次の2つに分けられます。

  • 「身体的依存(薬物依存)」…ニコチンが直接脳に働きかけて快感をもたらし、「吸わずにはいられない」状態を作り出す。
  • 「心理的依存」…快楽を得る手段として習慣化する。

たばこは「意思が弱いからやめられない」のではなく、治療が必要な「慢性の病気」なのです。

この体への影響は長期的なものであり、すぐに体調の変化として現れるわけではありませんが、次のような症状がたばこの煙を吸うことですぐに現れたら要注意!あなたはすでにたばこの害にさらされているのです。

すぐに現れる症状

  • 目の痛み、目がしみる
  • のどの痛み、咳
  • 心拍数の増加
  • 冷え性

たばこの害は吸う本人より、周囲の人への影響の方が大きい

たばこの煙は3種類あります

  1. 「主流煙」たばこを吸う本人が直接吸う煙
  2. 「副流煙」たばこの火から立ち上がる煙
  3. 「呼出煙」たばこを吸う人が吐き出した煙(たばこを吸った後30分間は息から有害物質が出続けていると言われています)

たばこの有害物質は、「ただよう煙」に多く含まれています

ただよう煙とは、「副流煙」と「呼出煙」を合わせたものを言います。

副流煙は、有害物質がフィルターを通らず、そのままただようので主流煙より2から4倍の有害物質が含まれます。

つまり、有害物質の影響はたばこを吸う本人より、周囲の人の方が受けやすいのです。

「三次喫煙」としての害

たばこの煙そのものに暴露される受動喫煙とは異なり、たばこの火が消された後も残留する有害物質を吸入することを「三次喫煙」と言います。

たばこを吸う人の吐く息や衣類、皮膚、髪の毛、たばこを吸う人の住む家のソファーやカーペット、壁紙などからも有害物質は検出されており、部屋で過ごす時間が長い乳幼児などは三次喫煙による影響が懸念されます。

たばこの害 世代別編

子どもへの影響

たばこの煙の影響が最も出やすい体の部位は、「鼻」「耳」「のど」などの空気の通り道にある部分です。受動喫煙により、子どもの中耳炎、気管支炎、肺の感染症などが起こることが報告されています。

また、虫歯や歯肉炎、身長が伸びにくいなどの成長阻害、アトピー性皮膚炎、生殖能力の低下、将来の肥満や糖尿病など影響は多々あります。

さらには、1歳未満に多くみられる「乳幼児突然死症候群(SIDS)」の危険性が高まること、親が喫煙者であるとその子どもは将来喫煙者になる可能性が高まること等、子どもへの影響は計りしれません。

最近では、ADHD(注意欠陥・多動性障害)や知能低下といった脳の働きにも影響を及ぼすことが報告されています。

胎児への影響

妊娠中のたばこは流産・早産の原因になります。胎盤の血流を悪化させ、おなかの中の赤ちゃんは低酸素・低栄養状態になるためと考えられています。

また、たばこを吸う妊婦さんから生まれた赤ちゃんは、たばこを吸わない妊婦さんから生まれた赤ちゃんに比べて低出生体重児となる頻度が約2倍高くなっています。

青少年期への影響

青少年期にたばこを吸い始めた人の方が、成人後にたばこを吸い始めた人に比べ、がんや虚血性心疾患などの危険性が高まると言われています。

また、20歳未満の人の喫煙は「未成年者喫煙禁止法」で禁止されています。

「新型たばこ」に害はないのか

最近よく耳にする「電子たばこ」や「加熱式たばこ」。これらの新型たばこですが、日本では平成26年から「加熱式たばこ」が発売され、その後も様々な種類の新型たばこが出回り、愛用する人が増えてきています。

従来の紙巻きたばこと違い、「有害物質を含まない」「副流煙が出ない」と誤解されがちですが、新型たばこの有害性は十数年経たないと明らかにならず、現時点で「無害」と言い切ることはできません。

受動喫煙を防ぐために私たちができること

たばこを吸う方は

  • 歩きながらのたばこはやめましょう。
  • 吸い殻の後始末はきちんとしましょう。
  • 人の前では吸わないようにしましょう。
  • 新型たばこを吸うときも、紙巻きたばこの時と同様な配慮をしましょう。

たばこを吸わない方は

  • 完全禁煙の商業施設や飲食店を選びましょう。
  • たばこの煙を拒否する「意思表示」をしましょう。

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問合せ

  • 「受動喫煙に関すること」保健センター健康推進係049−264−8292
  • 「禁煙相談に関すること」保健センター健康予防係049−262−9040

この記事に関するお問い合わせ先

保健センター 健康推進係

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更新日:2023年04月01日