令和6年第1回ふじみ野市議会定例会市長施政方針
令和6年第1回ふじみ野市議会定例会施政方針 (PDFファイル: 609.1KB)
初めに
令和6年第1回ふじみ野市議会定例会の開会に当たり、私のふじみ野市政の施政方針を謹んで申し上げ、市議会の皆様と市民の皆様のご理解とご賛同を賜りたいと存じます。
昨年の5月に新型コロナウイルス感染症の扱いについて、感染症法上の分類が「2類相当」から「5類」に移行されました。マスクの着用についても本人の意思に委ねられ徐々に外す人が増え始め、今では電車内や商業施設などでも外している方々が大分増えたなと皆さんも感じているのではないでしょうか。一時は第9波もどうなることかと案じていたところではありますが、社会的に大きな混乱も起きずに済んだところであります。
新型コロナウイルスの扱いが5類に引き下げられたことは、日常生活において心理的なプレッシャーから解放されたように感じられます。やはり、マスクを外す方が増え始めると、重たい空気から解き放たれ、世の中のムードが少しずつ明るくなってきたように感じられます。また、様々な行事も行いやすくなったのではないでしょうか。「自粛しなくてはいけないのでは」といった考え方から、「もうここで再開しようか」といった流れに変わってきたものと思います。
本市でも各自治組織で夏祭りや餅つきなどが再開されました。また、ふじみ野市の夏の風物詩である「おおい祭り」「上福岡七夕まつり」がそれぞれ4年ぶりに開催されました。「産業まつり」も規模を元に戻し通常開催となりました。それぞれに多くの市民の皆さんや市外の方々が訪れ、いずれも大盛況でありました。何と言っても子どもたちの楽しそうな、嬉しそうな笑顔を見た時に、本当に良かったなと実感したところでございます。コロナ前においては、当たり前のように開催され、いつものとおり人々が集まり、いつものとおり賑わい、いつものとおり楽しいひと時が過ぎていく、この「いつものとおり」がいかに大切な事でありがたい事か、その笑顔を見た時まざまざと思った瞬間でもありました。
さらに、昨年11月にはステラ・ウェストがオープンいたしました。2日間のオープニングイベントには多くの市民の皆さんが参加され、また多くの市民の皆さんが観覧や図書館を利用され、2日間で1万人以上の方々が訪れました。そして、1月の末には来館者が10万人を達成したところでございます。
このように、多くの皆さんが祭りやイベントなどに参加いただける状況になったことはとても喜ばしいことですが、ただそれだけではありません。祭りを開催するにしてもイベントを開催するにしても、そこに至るまでに自治組織の役員さんや実行委員の方々など多くの皆さんが集まり、話し合い、議論を深めてそこに至ったということです。つまり、そこにはコミュニティが戻ったということであります。これらを弾みに更なる地域コミュニティの醸成と活気溢れるふじみ野市のまちづくりに向けて市政運営に努めてまいりますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
社会・経済・気候
さて、ここで社会、経済情勢と気候の問題についてお話ししたいと思います。
まずは、一昨年のロシアによるウクライナ侵攻ですが、いまだにその先の見通しが立たない状況にあります。長期化する中で一部の国において、支援の見直論が報じられたりもしております。世界的にも大きな影響を及ぼしており、早期停戦そしてロシア撤退を求めるところではありますが、難しい状況に変わりはありません。
また、昨年10月にはイスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃があり、紛争が勃発しました。イスラエル軍は、1月以降、作戦規模を縮小する動きを見せ始めているものの、戦闘の休戦に向けた交渉は膠着しており、いまだに先行き不透明の状況にあります。本地域の問題は歴史を遡れば紀元前にまで遡ることになりますが、近代では度重なる中東戦争と過激なイスラム組織との関りで、情勢的には安定しない地域となっております。
我が国周辺の問題としては、北朝鮮によるミサイル発射、中国の軍事拡大による海洋進出と併せて台湾を巡る緊張関係など他にも数多くの問題も抱え、不安定な情勢は続いております。
経済情勢については、今月発表のOECDによる世界経済見通しによりますと、世界経済の成長率、実質GDPの伸び率になりますが2023年については3.1%、2024年は2.9%と予測しました。OECDでは、世界のインフレ率が想定以上に早く低下したとして、従前の予想より若干上方修正を行いました。要因の一つとして、米国のインフレ率が低下し実質賃金が上昇することで、連邦準備理事会(FRB)が、利下げに踏み切る環境が整い、景気を支えるとの見通しによるものであります。一方、中国は、不動産分野の不調と社会のセーフティネットが不十分なため、消費が抑制されるとし成長率は低下が続く予測となっております。また、ユーロ圏は、ドイツの景気減速が重石となりわずかな回復にとどまると見ております。最後に日本の予測ですが、賃金上昇が続くものの金融引き締めが始まり1%の成長にとどまる見込みとのことであります。また、国内の金融機関や生保系のシンクタンクなどの予測では、プラス成長は見込むものの伸び率としては鈍化するという見方が大方の予想となっておりますが下振れ要因も多く、海外経済の減速、マイナス面での物価高、人手不足などが挙げられております。こうした社会情勢や経済予測が示されている中、いずれにいたしましても、自国の財政・金融政策だけで解決できる問題ではないものと考えております。
最後に気候の問題についてでございますが、昨年の夏、世界各地で過酷な熱波と高温に見舞われ、7月の世界の平均気温は観測史上最高を記録したとされました。同月27日、グテーレス国連事務総長はニューヨークの国連本部で記者会見を開き「地球温暖化の時代は終了し、地球沸騰の時代が到来した」と語り危機感を示す中、各国政府や企業のリーダーに早急な行動を促しました。
そして昨年の暮れに地球温暖化対策を話し合う国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)が開かれました。最終的には「化石燃料からの脱却」を成果文書に盛り込み閉幕いたしました。ただし、その道筋については曖昧さも残しており、実効性の確保が今後の課題であると認識するところであります。
沸騰したと言われる地球がもたらす異常気象については、世界中で、大規模な干ばつ、洪水、森林火災などが多発しました。日本でも季節に関係なく、線状降水帯が発生し各地で大きな被害をもたらしています。また、台風も大型化しておりかつて聞いたことの無いような中心気圧も、常態化しつつあるように感じられます。
今、申し上げましたように社会、経済情勢も決して視界良好とは言えません。不確実な要素は幾つも存在しております。さらに、新たな情勢不安が起きる可能性も否定できません。むしろ発生しないことは無いのではないでしょうか。併せて気候問題についても深刻な問題であります。グローバリゼーションが深まる中、地球の裏側で起きた事象であっても私たちの生活には少なからず影響を及ぼし、時としてそれが非常に大きなものに発展することもあります。しかし、何があろうとも私に課せられた使命は日々、安全で安心した市民生活が送れる市政運営を行うことであります。常に危機感を持ち、ふじみ野市将来構想from2018to2030の折り返し地点から後半戦へ向けて更なる市政改革に臨んでまいる所存でございます。
折り返し地点
さて、ここでただいま申し上げました後期基本計画の取組について、お話しをしたいと思います。
後期基本計画は令和6年度から令和12年度を計画期間としております。日本の人口は平成22年を境に減少を続けており、ふじみ野市においても後期基本計画期間での人口の減少を予測しております。基本構想に掲げた「人がつながる 豊かで住み続けたいまち ふじみ野」を実現し、何世代にもわたって「住み続けたい」と思うまちにしていくためには、後期基本計画期間の7年間が重要な期間であると考えております。子どもたちに、より良いふじみ野市を引き継いでいくためにも、後期基本計画に掲げた6つのプロジェクトを着実に進めてまいる所存でございます。
まず、重点プロジェクト1として掲げました「オールふじみ野まちづくりプロジェクト」についてでございます。
「地域力の高いまちをつくる」ことは自治の基本であり、市民生活の礎となるものと考えております。しかしながら、コロナ禍を経て、人と人とのつながりが希薄化し残念ながら地域力が低下してしまったことを切実に感じております。このため、コロナ禍で開催できなかった地域のイベントを再開するに当たっては、今までよりも、盛大に多くの人を巻き込んでいけるような施策を展開し、こうした施策を推進することによって人と人との絆を太く、強くしていくことで地域力の向上につなげてまいります。
重点プロジェクト2は「いきいき元気・健康プロジェクト」についてでございます。
これは元気・健康づくりに向けた市民活動の機会を提供し、自分らしく暮らし続けることのできる基盤を構築することを狙いとしており、大きなトピックスとして、ステラ・ウェストの完成を挙げることができます。市民の皆様が待ちに待った施設ということで、既に多くの文化イベントが開催されており、文化芸術を創造していくふじみ野市として新しい魅力を発信しております。今後、多くの市民の皆様がこの施設を活用し発信していく施設となることが期待できます。
また、これまで実施してきたスポーツ施策など生涯にわたる学習と併せ、全ての市民がいつまでも健やかに笑顔あふれる元気・健康による好循環のまちを目指してまいります。
重点プロジェクト3は「子育てするならふじみ野市・こどもの未来を育むプロジェクト」についてでございます。
私は市長就任当初から「子ども優先のまちづくり」を掲げてまいりました。「こどもの未来を育む条例」を制定し理念を示させていただきました。オールふじみ野で子どもと子育て家庭を支援する体制を整えることで、「子育てするならふじみ野市」を更に発展させてまいります。
重点プロジェクト4 は「強靱なまちづくりプロジェクト」についてでございます。
近年、地球沸騰の時代と言われ、台風の大型化や線状降水帯の増加など自然災害が激甚化する大きな要因ともなっております。これに備えた雨水貯留浸透施設や調整池の整備を進めているところでございますが、洪水や地震、また複合的な災害への対策は継続的に実施していかなければなりません。「ふじみ野市を守るための備えに万全を期す」という決意をもって施策を進めてまいります。しかしながら、万が一、災害が発生してしまった場合には、それに対応していくことのできるソフト面の強化が必要です。ハード・ソフトの両面から災害対策を強化していくことによって、市民が安心して暮らせる環境をつくってまいります。
重点プロジェクト5は「美しく活気ある暮らしやすいまちプロジェクト」についてでございます。
良好な住環境はまちの大きな魅力であります。立地適正化計画を策定し、魅力的な都市空間を創出してまいります。また、商業をはじめとした地域経済の活性化を図り、活気ある暮らしやすいまちとして充実させてまいります。
重点プロジェクト6は「市のこと知って使ってプロジェクト」についてでございます。
デジタル技術や行政データの活用により、行政サービスをより効果的に、便利に市民の皆さんが活用できるよう推進してまいります。この際に情報格差が大きな課題となります。自治体DXを推進して行政サービスを受けやすくしていくとともに、必要な情報が着実に必要な方に届く方策を講じてまいります。
これら6つのプロジェクトを効果的に推進していくためには、長期的な目標を見据えつつ、その目標に至るプロセスの中でマイルストーンとして1年毎の目標を定め着実に施策を実行していくことによって、計画的に目標を実現することができると考えております。この一つひとつの目標を達成することを成果として捉え成果重視の行政経営を推進してまいります。将来的な人口減少社会を見据えつつも、市民の皆さんから住み続けたいと思われるふじみ野市を実現していくために、「ふじみ野市のまちづくり」を真摯に進めてまいる所存でございます。
令和6年度の予算概要
さて、令和6年度における政府の一般会計予算案は、総額112兆700億円となりました。併せて、地方財政計画では、安定的な財政運営を行うために必要となる一般財源総額について、令和5年度を0.6兆円上回る62.7兆円が確保されました。
こうした状況の中で編成した本市の令和6年度当初予算案の概要でございますが、一般会計の予算規模は、470億7,038万2千円で前年度と比較してマイナス1.7パーセント、8億540万6千円の減額となりました。
歳入面では、市税において、法人市民税や固定資産税の増加のほか、個人市民税は定額減税の影響を受けますが、影響分は国より特例交付金として補填されるため、税収としては実質増となっております。
歳出面では、物価高騰対策のほか、地域コミュニティの醸成に欠かすことのできない市民活動や市内イベントの活性化に向けた予算に加え、子ども・子育て施策の拡充に伴う予算を計上しております。
普通建設事業では、ステラ・ウェストの完成により、令和5年度と比較して約32億4千万円の減額となったものの、ステラ・イーストホール棟の整備をはじめ、各種施設の大規模改修工事や空調設備の設置など公共施設の整備を進めていくため、普通建設事業全体では、約49億4千万円を計上しております。
この予算を編成するに当たり、市債と基金のバランスを考慮しつつ、これまで計画的に積み立ててきた基金約49億2千万円を当初予算に繰り入れ、将来世代への過度な負担とならないよう、必要な予算を配分したところでございます。
続きまして、令和6年度の各部の主な事業につきまして、説明させていただきます。
令和6年度の取組(主な事業)
1 総合政策部
まず初めに、総合政策部所管の主な取組についてお話しいたします。
先にお話しいたしましたとおり、令和6年度から後期基本計画がスタートいたします。「ふじみ野市のまちづくり」を着実に進められるよう、施策の展開を図ってまいります。
また、令和7年度には「ふじみ野市誕生20周年」の節目の年を迎えます。今日に至るまでには、多くの市民の皆様にふじみ野市の成長を支えていただきました。20周年はその一つひとつに感謝するとともに、市民の皆様が一つになって祝うことができる、そのような年にしていきたいと考えております。令和6年度においては「誕生20周年」に向けた準備を進めてまいります。
次に、広報広聴事業についてでございます。
メール配信サービスにつきましては、システムの更新により、XやLINE、Facebookなど様々な媒体にメール配信と同時に一斉発信ができるように拡充し、発信情報の緊急度や対象者などに応じて、受信者が気づきやすい通知手段を自由に選択し、必要な方により伝わりやすい情報発信を目指してまいります。
また、市のシティプロモーションにつきましては、ふるさと納税の取組の中で、市内の事業者や商品の紹介を充実させ、本市の魅力を市外の方に向けて発信する取組を進めてまいります。
また、タウンミーティングにつきましては、新たなテーマの下、全自治組織を対象として開催し、これまで以上に様々な世代の方々のご意見を頂戴してまいりたいと考えております。
次に、デジタル化の推進についてでございます。
令和3年度に策定したDX推進方針に基づき、行政手続のオンライン化の推進などデジタル化の総合的な施策展開を図り、市民の皆様の利便性を高めるだけでなく、職員の事務の効率化も図ってまいります。DXによる変革の波を捉えつつ、これらの取組を着実に推進し、DX推進方針にビジョンとして掲げております「離れていてもつながる デジタルの活用で便利なまち ふじみ野」の実現を目指してまいります。
2 総務部
次に、総務部所管の主な取組についてお話しいたします。
初めに、防災対策でございます。
令和6年を迎えた1月1日、能登半島地震が発生しました。首都直下地震の発生確率が高まっていると言われている中、災害への備えに万全を期してまいりたいと考えております。そのような中、災害対応においては情報の収集と一元化が非常に重要であることから、令和6年度に防災情報共有システムを導入いたします。これにより、災害時に刻々と変化する状況を災害対策本部や災害対策室、地域防災拠点や現場など複数の拠点でリアルタイムに情報共有をすることが可能となり、災害対策本部における判断と市民の皆様に対する避難情報の発令などの迅速化が図れるものと考えております。さらに、帰宅困難者にも対応する食糧備蓄やアレルギー対応食の充実を図るとともに、地域防災の要となる自主防災組織への防災資機材の整備や地区防災計画策定に係る支援内容の見直しを行い、地域防災力の更なる向上に努め、より一層災害に強いまちづくりを進めてまいります。
続きまして、防犯対策でございます。
本市においては、自治組織やふじみ野市青色防犯パトカー市民パトロール隊、ふじみ野市防犯推進会議の加盟団体の皆様を中心とした多くの市民の皆様にご協力をいただきながら、防犯パトロールや子どもの見守り活動など、幅広く地域の防犯活動を推進しております。令和6年度においても、防犯ボランティア活動に対する支援や警察、関係団体との連携を強化し、安全・安心なふじみ野市の実現を目指してまいります。
次に、職員採用についてでございます。
近年、職員採用を取り巻く環境は、生産年齢人口の減少に伴う働き手不足が深刻化し、民間企業、国などを含めた採用競争・人材獲得競争が激化しております。そのような中、時代のニーズや受験者目線に立ち、全国に先駆けた採用試験スタイルを構築することで、多くの受験生を獲得することができました。この本市の取組につきましては、各メディアや機関誌に紹介されるなど、様々な方面から高い評価をいただいているところでございます。今後におきましても、時代のニーズを的確に把握するとともに、新たな発想による取組を実践し、年齢や性別にとらわれることなく、優秀な人材の確保に努めてまいります。
続きまして、庁用車管理についてでございます。
2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロにするゼロカーボンシティの実現に向けた一環として、電気自動車の導入を令和5年度の5台に加え、令和6年度は更に11台行います。電気自動車は、台風や地震などの災害時に移動式電源として避難所等に給電することもできるメリットがあることから、今後におきましても、積極的に導入を進めてまいります。
次に、自主財源の根幹をなす市税の収納関連でございます。
納税率は、令和4年度決算におきましても県平均を超え、平成23年度から12年連続で上昇となり、市税全体の納税率は、県内40市中第1位となりました。これは、担当職員たちの地道な努力と市民の皆様が納税に対する意識を高めていただいた結果によるものであると考えております。今後におきましても、納税者の利便性の向上につながる納付環境を整備するとともに、税及び保険料の収納率の維持・向上に努めてまいります。
3 市民生活部
続きまして、市民生活部所管の主な取組についてお話しいたします。
初めに、市民窓口サービスについてでございます。
本庁、大井総合支所及び出張所の市民窓口で毎年度実施しております来庁者窓口サービス満足度調査では、令和5年度においても満足度98パーセント以上の高い評価をいただきました。自由意見欄では、コンシェルジュによる案内や書かない窓口をご利用いただいた市民の皆様から多くのお褒めの言葉をいただいております。今後におきましても、市民の皆様の声を真摯に受け止め、より一層の市民窓口サービスの向上や心の籠もった接遇を徹底してまいります。
また、マイナンバーカードの普及促進対策につきましては、引き続き、本庁市民課及び大井総合支所市民総合窓口課における申請支援や市内公共施設等における出張申請サポートを実施してまいります。さらに、戸籍事務へのマイナンバー制度の導入に関しましては、戸籍法の一部を改正する法律が令和元年に公布されたことから、令和2年度から順次、戸籍情報システムの改修を行っているところでございます。また、令和5年に公布されたマイナンバー法等の一部改正法により、氏名の振り仮名が戸籍、戸籍附票及び住民票の記載事項となったことを受け、令和6年度から令和7年度にかけて既存住基システム及び戸籍附票システムなどを改修し、令和7年度中の稼働に向けた試行運用を実施してまいります。本システムが稼働いたしますと、戸籍等に記載された氏名の振り仮名が公証され、様々なサービスにおいて本人確認事項として利用することが可能となり、利便性の向上が図られるものと考えております。
続きまして、男女共同参画の推進についてでございます。
令和5年度に見直しを行った第2次男女共同参画基本計画に基づき各施策の充実を図ってまいります。本計画には、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律に基づく困難女性支援基本計画についても包含しており、困難な問題を抱える女性の支援を包括的かつ継続的に行うため、関係機関との連携の強化とともに、支援調整会議の実施や民間団体との協働など、支援体制を構築してまいります。
次に、国民健康保険についてでございます。
令和6年度を開始年度とする第3期埼玉県国民健康保険運営方針が策定されたことから、埼玉県と共に国民健康保険の保険者として、安定的な運営に責任をもって取り組んでまいります。さらに、本市国保財政の赤字につきましては、赤字削減・解消計画の予定のとおり令和5年度をもって解消できる見通しが立ちましたことから、今後は令和9年度からの保険税水準の準統一を見据えた運営を行ってまいります。そして、令和6年度を開始年度とする第3期国民健康保険保健事業実施計画及び第4期国民健康保険特定健康診査等実施計画に基づき、健康、医療情報を分析し、健康課題を捉え効果的な保健事業を行い、健康寿命の延伸と医療費適正化を目指してまいります。
4 市民活動推進部
続きまして、市民活動推進部所管の主な取組についてお話しいたします。
初めに、自治組織への支援についてでございます。
令和6年度におきましても、地域コミュニティの醸成を図るべく、各自治組織やふじみ野市自治組織連合会と緊密な連携を図りながら地域の活性化や会員増加につながる取組について支援してまいります。
また、主な活動拠点となる集会施設につきましては、ふじみ野市流の新たな集会施設の在り方について、自治組織集会施設審議会の意見を踏まえながら、その方向性を導き出してまいります。
続きまして、文化の分野についてでございます。
令和5年11月に完成したステラ・ウェストにつきましては、ふじみ野の「文化と人の交流の場」といたしまして、ホール、諸室、図書館など、連日、多くの市民の皆様にご利用いただいております。今後は利便性の向上を図るため、新たに施設駐車場用地を購入し、整備を進めてまいります。
また、ステラ・イーストホール棟の整備につきましては、解体工事完了後、音響効果の高い性能を有する多機能ホールとして工事を進め、令和7年10月のリニューアルオープンを目指してまいります。
次に、老朽化が著しい上福岡西公民館につきましては、新たな文化施設への移行に向けた大規模改修工事を実施するため、令和6年度から設計業務に着手してまいります。
一方、ソフト面におきましては、新たに「伝統文化芸能保存継承事業」を実施するとともに、令和5年度に設立されたふじみ野市文化協会の事業展開が令和6年度から本格的に行われることから、支援の拡充を図ってまいります。
次に、スポーツの分野についてでございます。
令和6年度は、駒林体育館アリーナ照明灯のLED化や壁の張替えなど改修工事を実施するとともに、空調設備の整備も行ってまいります。また、他のスポーツ施設の体育館についても同様に空調設備の整備を進めてまいります。
そして、スポーツフェスティバルにつきましては、令和6年は夏季オリンピック・パラリンピックの開催年であり、その開催年に合わせて東地域、西地域合同でスポーツフェスティバルを実施する旨のご提案を自治組織連合会からいただいております。より一層、まちの一体感を感じることができるスポーツフェスティバルとなるよう実行委員会と共に進めてまいります。
続きまして、環境の分野に関する取組についてでございます。
本市では、地球温暖化対策としてゼロカーボンシティ宣言を表明しており、実現に向けた取組として、住宅用スマートエネルギーシステム導入促進補助金及び電気自動車等導入促進補助金を令和5年度に創設いたしました。予想を超える申し込みをいただいていることから、令和6年度も継続して実施するなど、ゼロカーボンシティの実現に向けた取組の更なる充実を図ってまいります。
次に、3R推進事業につきましては、食品ロス発生量の実態調査や各種啓発等を行い、食品ロスの削減に取り組むとともに、海洋汚染の原因ともなっているプラスチック問題につきましても、使い捨てであるワンウェイプラスチックの使用削減を促進してまいります。
続きまして、産業振興の分野についてでございます。
物価・エネルギー価格の高騰が著しい状況にある中、地域経済の活性化及び家計支援等を目的として、消費活性化クーポン給付事業を令和5年度に実施いたしました。昨今の経済状況を鑑み、令和6年度におきましても引き続き実施してまいります。
また、産業振興施策を総合的に推進する中小企業及び小規模企業振興基本計画を令和5年度中に策定し、令和6年度より本計画に基づく施策展開を図ってまいります。
さらに、創業者への支援の一つとして、新規創業者における安定した運営を図るため、3年間継続的に支援する「創業支援事業ステップアップ補助金」を創設いたします。
次に、農業支援策についてでございますが、農業経営基盤強化促進法の改正により、目指すべき将来の農地利用について明確化するための「地域計画」を令和6年度末までに策定することとされていることから、令和5年度から計画対象地域の農業者及び地権者の方々と協議を進めているところでございます。この計画策定に伴い、認定農業者等への支援拡大として、農業経営の改善と省力化を促進するため、機械の購入や施設等の整備に係る経費を補助する「農業生産改善事業補助金」の拡充を図ってまいります。
5 福祉部
次に、福祉部所管の主な取組について、お話しいたします。
コロナ禍では、他者との交流が大きく制約され、孤独・孤立の問題が顕在化する中で、人と人とのつながりや地域での支え合い、見守りの重要性が改めて明らかになりました。本市では、生活支援体制整備事業による住民が主体の地域づくりを進めることにより、これまでに新たな居場所の創設や挨拶運動など、地域の特色に応じた様々な活動が生まれてきております。こうした中にあって、令和6年度は、生活支援体制整備事業の「生活支援コーディネーター」の増員を図り、市内4つの日常生活圏域それぞれを専任のコーディネーターが担当することで、地域の高齢者をはじめとする様々な方の新たな居場所づくりや地域での緩やかな見守り、助け合いの取組を促進してまいります。
次に、地域住民の相談役となり、困りごとを抱える方を行政や専門機関につなぐパイプ役としての重要な役割を担っていただいております民生委員・児童委員の活動につきましては、かねてより、課題となっておりました負担の軽減に向けて、新たに「民生委員協力員制度」を市の事業として導入いたします。あらかじめ登録していただいた民生委員協力員に民生委員の活動を補佐していただくことにより負担を減らし、活動しやすい体制を作ってまいりたいと考えております。
続きまして、障がい者の支援についてでございます。
令和5年8月に開所いたしました「地域活動支援センター」においては、自宅にひきこもっている障がい者などの地域生活や社会活動の充実を目指して、安心できる居場所の一つとなるよう、寄り添った支援を進めているところでございます。また、令和6年度は、大井総合福祉センター内に障がい者の余暇活動支援として、障がい者等を対象としたフリースペースを創設いたします。フリースペースでは、毎月の障がい者向けのイベント開催のほか、障がい者などが自由に過ごせ、障がい者同士、また障がいのある方もない方も交流できる場として提供してまいります。
さらに、大井総合福祉センターにつきましては、館内の「おおい老人福祉センター」に、eスポーツ機器などの新たな設備を導入し、利用者の交流と介護予防・フレイル予防につなげてまいります。大井総合福祉センターの機能の充実により、施設の設置目的である「高齢者及び障がい者の自立の促進及び健康の増進、市民の相互交流」がより一層推進されるものと考えております。
次に、介護保険事業についてでございます。
令和6年1月には、共生社会の実現を推進するための認知症基本法が施行されました。認知症は誰もがなりうるものであり、認知症になっても住み慣れた地域で希望を持って日常生活を過ごせるよう、本市では、令和6年度に市内4か所の高齢者あんしん相談センター全てに「認知症地域支援推進員」の専任での配置を進めてまいります。これにより、認知症の人や家族等への相談支援を強化するとともに、認知症予防とも重なる介護予防・フレイル予防の充実につなげてまいりたいと考えております。さらに、「高齢者あんしん相談センターつるがまい」につきましては、より身近で相談しやすい場所への配置となるよう、大井総合福祉センター内へ移転し、気軽に相談できる環境を整えてまいります。
なお、国の制度として、介護保険の保険者である市区町村の取組を評価し、その評価などに応じた交付金を配分する保険者機能強化推進交付金及び介護保険保険者努力支援交付金の制度がございます。本市におきましては、令和6年度の交付金の評価点が、令和5年度に続き県内1位となりました。全国順位も17位となっております。これは、本市の保険者としての積極的な取組とともに、市民の皆様に様々な介護予防事業などへ活発にご参加いただいていることが結果に結び付いているものと考えております。
次に、令和5年4月に施行した「地域の医療と介護を守る条例」につきましては、全国的にも例のない先進的な条例でございます。令和6年度も、本条例に基づき、地域の医療と介護の従事者を守り、市民の皆様が安心して必要な医療や介護を受けていただけるよう、医療・介護事業者などと連携して市民へのハラスメント防止の啓発を実施し、国や県と共に医療・介護の担い手の方々への支援を実施してまいります。さらに、在宅医療・介護の連携のため、地域の医療・介護の最新情報を市民の皆様や医療・介護関係者に幅広く提供できるよう、「地域資源情報提供システム」を2市1町共同で導入いたします。
6 こども・元気健康部
次に、こども・元気健康部所管の主な取組についてお話しいたします。
繰り返しになりますが、私は、市長就任当初から「子ども優先のまちづくり」を政策の柱として掲げてまいりました。将来を担う子どもたちのために、令和6年度も引き続き子育て環境の充実に取り組んでまいります。
まず、こども医療費の拡充についてでございます。
現在、通院・入院とも15歳の年度末まで無償としておりますこども医療費につきましては、令和6年4月診療分から通院・入院とも18歳の年度末まで無償といたします。子育て世帯の経済的負担を軽減することにより、子どもの福祉の増進を図るとともに、子どもの健やかな成長と次代を担う子どもたちを本市で生み育てることができる環境づくりに取り組んでまいります。
次に、こども家庭センターの設置についてでございます。
母子保健と児童福祉の機能を一体的に運営する「こども家庭センター」を設置いたします。妊産婦及び乳幼児の健康保持・増進に関する包括的な支援並びに子どもとその家庭の福祉に関する包括的な支援を切れ目なく漏れなく行ってまいります。
続きまして、東原放課後児童クラブについてでございます。
今後、児童数の増加が見込まれることから施設の増設に向けて、令和6年度中に設計・施工を進め、令和7年4月の開設を目指してまいります。放課後の時間帯における適切な遊び及び生活の場を提供することにより、子どもたちの健全育成を図ってまいります。
次に、こどもの未来を育む条例の趣旨を踏まえた事業についてでございます。
令和6年度は、子どもたちの社会参加の機会として、「ふじみ野キッズランド」事業を実施いたします。実施時期は本年の秋頃を予定しており、職業体験の機会を通して、本市の子どもたちの職業観や地域を愛する心を育てるとともに、将来の地域産業を担う人材の育成の一助となることも期待しているところでございます。
続きまして、こども計画の策定についてでございます。
令和7年度を計画の初年度とする「こども計画」につきましては、令和5年度から策定に着手しております。地域や社会が子育て世代に寄り添い、子育てに対する不安や孤立感をなくし、安心して子育てができる環境を整えること、更には子育てや子どもの成長に喜びや生きがいを感じられるようになることを目指し、令和6年度も計画策定に取り組んでまいります。
次に、児童発育・発達支援センターについてでございます。
本市の児童発育・発達支援センターは、発達総合相談等は直営により、また、療育に関する事業は社会福祉法人への委託として、継続的・安定的に事業を実施しております。令和6年度は、児童福祉法の改正に伴い条例を改正し、福祉型、医療型に分かれていた児童発達支援の類型を一元化するとともに、引き続き、地域の中核施設として関係機関と連携しながら、発育・発達に不安のある児童及び保護者を支援してまいります。
次に、保育所についてでございます。
上野台保育所の空調設備の改修工事を令和6年中の完了を目指して実施いたしますとともに、冷房効率が低下している新田保育所の調理室の空調設備や大井保育所の屋根を改修いたします。今後も、設備の更新や建物の修繕に積極的に取り組み、良好な保育環境を創出することにより、保育の質を向上するよう努めてまいります。
次に、ふじみ野元気・健康プランについてでございます。
令和6年度から令和12年度までを計画期間とした第2期ふじみ野元気・健康プランが始まります。このプランに基づき、市民一人ひとりが生涯にわたり健やかに過ごせるよう各種施策を実施してまいります。
続きまして、新型コロナワクチンについてでございます。
新型コロナワクチンは令和5年度末をもって特例臨時接種を終了し、令和6年度以降は予防接種法に基づく定期接種として実施する方針が国から示されました。引き続き、ふじみ野市医師会のご協力をいただきながら円滑にワクチン接種を実施することにより、重症化の予防に努めてまいります。
7 都市政策部
続きまして、都市政策部所管の主な取組についてお話しいたします。
初めに、立地適正化計画の策定についてでございます。
本計画は、令和5年度と令和6年度の2か年で策定することとしており、令和6年度は、具体的な誘導区域を設定し、パブリックコメントや市民説明会を実施した上で、令和6年度末の計画公表に向けて作業を進めてまいります。
次に、公園緑地についてでございます。
東久保中央公園にあります滝施設の跡地に障がいのある子もない子も一緒になって遊ぶことができ、誰もが楽しめるインクルーシブ遊具を整備するとともに、パーゴラやベンチの休憩施設、トイレや照明灯といった設備の大規模改修工事に着手してまいります。また、運動公園野球場につきましては、築40年以上が経過し、老朽化が進んでいることから改修工事に向けた基本設計・実施設計を行ってまいります。さらに、第2運動公園体育館及び武道館の施設改修や空調設備の整備事業に向けて基本方針の策定も実施してまいります。
続きまして、空家対策についてでございます。
第2期空家等対策計画に基づき、総合的かつ計画的な空家対策に取り組んでいるところでございます。令和6年度は、空家対策のより一層の強化として、空家等対策の推進に関する特別措置法の改正により新たに位置付けられました「管理不全空家等」の認定や空家所有者等への指導を実施し、空家等の管理不全解消に向けた取組を推進してまいります。
次に、道路新設改良事業についてでございます。
市道F-55号線の(通称)八軒家交差点改良事業を引き続き進めてまいります。また、市道F-55号線と交差する主要地方道さいたまふじみ野所沢線は、三芳スマートインターチェンジへの主要アクセス道路となることから、埼玉県川越県土整備事務所、三芳町及び本市が連携し歩道整備等を行うことにより、児童や歩行者の安全確保を図ってまいります。
次に、雨水対策についてでございます。
江川流域都市下水路の下流部における浸水被害の軽減を図るべく、川越市と共同で実施する内水対策事業といたしまして、本市川崎地区内に調整池及びポンプ場の整備計画を進めているところでございます。令和5年度におきましては、工事実施設計及び関係機関との協議を進めるとともに、地権者の皆様のご理解を賜り、仮設道路用地の確保がスムーズに完了し、整備工事の契約に向けて準備を進めているところでございます。令和6年から工事着手することにより、元福岡地区や川崎地区における浸水被害の軽減に大きな役割を果たし、地域の安全・安心につながる事業であることから、早期の完成を目指し整備を進めてまいります。
続きまして、公共下水道事業についてでございます。
市街化調整区域の公共下水道未普及地区における管渠整備につきましては、これまでに整備地区の皆様に説明会を実施し、工事を進め令和5年度には地区合計3.97haの供用開始をすることができました。令和6年度も引き続き整備工事を進め、供用開始区域の拡大に努めてまいります。
次に、水道事業についてでございます。
水道管路におきましては、耐震性の低い石綿セメント管更新事業を耐震対策として引き続き実施するとともに、将来にわたる維持費の軽減対策としてのダウンサイジングも継続してまいります。また、浄水場施設につきましては、福岡浄水場第1配水地の耐震補強工事を令和5年度に引き続き実施してまいります。
なお、こうした事業を進める中、給水収益の確保が重要となります。長年、給水原価が供給単価を上回る逆ざやの状況でありながらも、事業の精査、及び経費の削減等、創意と工夫をもって、県内でも低廉な料金を維持してまいりました。
一方で、物価高騰などの影響を受け、人件費、材料費、光熱水費等の単価が上昇しており、更には県水の購入単価につきましても値上げが予定されていることから上下水道審議会におきまして、水道料金の改定について諮問を行い、審議を重ねていただいた結果、「水道料金の改定はやむを得ない状況である」との答申を頂戴したところでございます。ご利用の皆様にはご理解をいただきますとともに、これまで以上の事業の精査、経費削減を徹底し、安全・安心で、良質な水道水の安定供給を図ってまいります。
8 教育部
最後に、教育部所管の主な取組についてお話しいたします。
初めに、学校教育の分野についてでございます。
本市では、子ども優先の施策の大きな柱として、児童・生徒の安全で良好な教育環境の構築に力を入れて、積極的に取り組んでまいりました。
児童数の減少が進んでいる東台小学校につきましては、令和7年度には児童数が100人を下回ることが見込まれております。小規模校であることに起因する様々な課題が生じており、子どもたちの教育環境の改善を早期に図る必要があると判断し、令和7年4月1日の東台小学校と東原小学校との統合に向けて、最終の協議を進めているところでございます。令和6年度は、両校の子どもたちが不安なく統合後の東原小学校に通い、楽しく充実した学校生活を送ることができるよう、準備を進めてまいります。
また、小中学校の校舎大規模改修工事につきましては、令和5年度から3か年をかけて実施しております大井東中学校の工事を令和6年度も引き続き行ってまいります。また、福岡中学校の工事を令和6年度から2か年をかけて行ってまいります。さらに、令和7年度からの花の木中学校の工事に向けまして設計業務に着手してまいります。また、照明のLED化を終えていない学校の校舎につきましては、令和6年度より計画的に改修を進めていくとともに、中学校武道場への空調設備を本年の夏から使用できるよう整備してまいります。
次に、令和5年度より、9校でモデル事業として開始いたしました民間施設を活用しての水泳学習につきましては、民間施設2施設を増やし、19校全校に拡大して実施いたします。引き続き効果や課題を検証してまいります。
また、GIGAスクール構想の推進につきましては、1人1台端末の更新を計画的に実施いたします。学校現場での効果的活用を一層推進し、引き続き、子ども一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育ICT環境を向上させてまいります。
次に、本市の児童生徒の学力につきましては、令和5年度の「埼玉県学力・学習状況調査」において、調査対象である小学校4年生から中学校3年生までの全ての学年で上位という結果となりました。学年が上がるにつれてその傾向は特に顕著であり、本市の児童生徒の学力は着実に向上しております。引き続き学力向上に向けて取り組んでまいります。
また、学校給食につきましては、物価高騰による賄材料費上昇への対応といたしまして、令和4年度、令和5年度に引き続き、令和6年度におきましても上昇分について公費を投入いたします。保護者に負担を求めることなく、栄養バランス、質、量を維持した安全・安心な学校給食を継続して提供し、食育を推進してまいります。
続きまして、社会教育の分野についてでございます。
社会教育事業につきましては、社会教育主事など職員体制の充実を図り、文化施設をはじめ、様々な公共施設や民間施設等を社会教育事業の推進の場として、施設に捉われない社会教育事業の推進を図ってまいります。
次に、上福岡図書館につきましては、新たな学習の場、憩いの場として、令和6年9月のリニューアルオープンに向けて大規模改修工事を進めてまいります。
また、現在、上福岡歴史民俗資料館と大井郷土資料館を統合し、新たなふじみ野市の郷土の資料館を整備するため、大規模改修工事の設計業務に着手しております。地域の皆様と共に文化財の保存と活用、次世代への継承が図られ、郷土ふじみ野の歴史や文化を総体的に学べる資料館として、また、多種多様な生涯学習事業や社会教育事業にも活用できる施設として改修を進めてまいります。
令和6年度は、ふじみ野市将来構想に掲げた教育の分野におけるまちづくりの理念である「地域の絆で育む学びのまち」の実現を目指した新たな教育振興基本計画が策定されます。各教育施策につきましては、引き続き地域の皆様のお力をいただきながら、教育委員会と連携して取り組んでまいります。
結びに
さて、今日、私たちの日常生活においてAI技術を駆使したシステムや製品が身近に増えてまいりました。
皆さんの家庭では既に使っている方もいらっしゃると思いますが、代表的な例としてはロボット掃除機が挙げられます。間取りや障害物を学習しながら掃除をしていきます。また、最近では調理家電や冷蔵庫などにもAI技術が搭載され、それぞれの家庭の好みを学習し、季節、気温に合わせて献立まで提案してくれるというものであり、ちょっと複雑な思いもするところであります。
産業別に見てみますと、第1次産業では農産物などの出荷時の判定などにおいて、第2次産業においては不良品などの判別などについて、また、第3次産業では金融関係を例に挙げてみますとキャッシュレス決済の不正利用検知などにおいても活用されているようです。また、公務部門として本市における活用事例といたしましては保育所の入所判定や、固定資産税の課税事務において航空写真データを用いての家屋状況の判定システムで活用しております。何れにいたしましても労働力不足の問題は、今後ますます深刻化していく事は周知の事実であります。AIの技術は今後絶対に必要であり、その活用は必須であると考えます。
一方で、AI関係の面白い新聞記事を見かけました。その記事の見出しには『「仕組み」理解は苦手』とありました。記事の内容をかいつまんでお話しいたしますと、ある企業が対話型AIに足し算の仕組みが理解できるのかを確かめる実験を行いました。何も学んでいないAIに足し算の事例を覚えさせ、AIが自律的に仕組みを学ぶことが可能であるのかを検証するため、500から1500までの数を2つ足す計算とその答えを100万通り学習させ、その後0から2500までの数を2つ足す計算をさせたところ、学習させた計算以外の計算では、ほとんどが不正解となりその理由が足し算の基本的な仕組みである繰り上がりができなかったケースが多く、「AIはルール自体を理解しているわけではない」とありました。反面、難しい話になりますが、ブラックホールの謎の解明に関するある大学教授のお話しとして、ブラックホールとはアインシュタインが提唱した一般相対性理論によって予言された天体です。AIが一般相対性理論を理解しなくとも様々な情報を結び付け複雑なネットワークを構築して計算することができるという、AIが独自に持つ仕組みによってブラックホールのモデルを作ることができれば、その全体像や詳細が解明できると期待するとの記述でありました。
興味深い記事であったと思います。この先、どこまでAIが進化していくのか想像できません。AIによる感情分析技術の開発も進んでおり、医療や防犯などの分野でも期待されております。人とAIが日常的にコミュニケーションをとる時代もそう遠くない時期に訪れるのではないかと思います。人々の暮らしに役立つ技術開発には大きな期待を寄せるところであります。
しかし、どんなに技術が進歩しようとも、最後は人と人との心のつながりに勝るものは無いと信じております。人間が持つ豊かな感情によってAIでは表現することができない、温かさや思いやりの大切さを実感できる世の中でなくてはなりません。
地域コミュニティを大切にして、若い世代の方々にも見えない絆の大切さ、温かさを知ってもらいたい。
そして、全ての市民の皆様と共に市民力を更にパワーアップし、地域の絆が息づくふじみ野市を創り上げていきたいと思います。
だからこそ、
このまちで暮らす
全ての市民が一つの家族のような
あったかいまちにしたい
そして何より大切なことは、
子どもたちの笑顔を増やすこと
この思いを胸に、市民の命と暮らしを守ることを第一に、引き続き全身全霊で取り組んでゆく所存でございます。
市民の皆様、そしてここにお集まりの議員の皆様におかれましては、なお一層のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、私の令和6年度施政方針とさせていただきます。
令和6年2月26日 ふじみ野市長 高 畑 博
更新日:2024年02月28日