令和7年第1回ふじみ野市議会定例会市長施政方針

更新日:2025年03月03日

初めに

R7施政方針

  令和7年第1回ふじみ野市議会定例会の開会に当たり、私のふじみ野市政の施政方針を謹んで申し上げ、市民の皆様、そして、ここにお集まりの議員の皆様のご理解とご賛同を賜りたいと存じます。

  本年10月1日、本市は誕生から20年を迎えます。私は、これまでまちの合併を人に例えて市民の皆様にお話ししてまいりました。産声をあげてから20年、人に例えれば二十歳の節目となります。人生の中で最も大きく成長する時期であります。本市誕生からの20年は、「成長」というよりは、市民の皆様と共にまちの礎を築いてきた歳月であります。

  大きな節目を迎えるに当たり、令和6年度のタウンミーティングにおいては、20年の節目を意識した中で、テーマを「未来に向けて 今、ここから」として、大正時代の村役場の写真から始まり、今日までのまちの移り変わる様子を映像や写真を用いてご紹介するとともに、これまでの取組について説明させていただきました。古い時代をご存じの皆さんは懐かしがってご覧になっており、若い方や転入されてきた方々は「こんな風だったんだな」と感じていたようです。また、様々なご意見をいただきながら、参加いただいた皆様には、ふじみ野市が大きな節目を迎えようとしていることを共有していただけたものと思います。

  迎える令和7年度は、様々な機会を通じて、大きな節目を迎えたことを全ての市民の皆様と共有し合える年にしていきたいと考えております。

  そして、市民の皆様と共に更に磨きをかけて、未来につながる持続可能なまちづくりのために全力で取り組んでまいる所存でございますので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。

緊張感が続く内外情勢

  さて、ここで気になる国内外の情勢などについてお話ししたいと思います。

  まずは、ロシアによるウクライナ軍事侵攻であります。間もなく3年が経過しようとしている中で、いまだに見通しが定かでない状況にあります。ウクライナから日本へ避難している方もおります。これ以上の犠牲が無いことを切に望むところであります。

  また、イスラム組織ハマスとイスラエルの紛争は、先月42日間の停戦合意がなされ、現在も次のステップに向けての協議が進められております。恒久停戦につながるものであるのか先行き不透明な状況ではありますが、この地域の紛争に終わりが来ることを願うばかりでございます。

  いずれにしましても、日本から遠く離れた地域での紛争ではありますが、天然ガスや石油などのエネルギー、穀物など食糧の調達、そしてそれらを運ぶための海上・航空輸送の安全確保など私たちの日々の暮らしに直結し、大きな影響を及ぼしております。

  また、我が国及び周辺諸国の問題としましては、昨年、相次いで領空侵犯などがあり、8月には長崎県男女群島沖で中国軍の情報収集機による領空侵犯がありました。さらに、日本の接続水域で中国海軍の空母の航行が確認されました。翌9月にはロシア軍の哨戒機がジグザグ飛行を繰り返し同じ場所で3回にわたる領空侵犯がありました。これらの行動に対し、海上自衛隊の護衛艦が初めて台湾海峡を通過するという行為がありました。また、ロシア軍機に対しては緊急発進した航空自衛隊機が警告のため火炎弾を発射するという異例の事態となりました。このような緊張感の高まる状態は、私たちの日々の安全・安心な暮らしを脅かすものであります。

  併せて、自然災害も同様であります。昨年8月に日向灘を震源とする最大震度6弱、マグニチュード7.1の地震が発生しました。この地震を受け、気象庁は、運用後初めて南海トラフ地震臨時情報を発表しました。地震の発生から1週間、特段の変化を示すような地震活動は観測されなかったことから、内閣府は政府としての特別な呼びかけを終了しました。しかしながら、本年1月、政府の地震調査委員会は、南海トラフ地震が30年以内に起こる確率を80%に引き上げました。首都直下地震についても高い確率を示したままであります。もちろん日々の観測、調査、研究により修正されることも考えられますが、良い方向ばかりとは限りません。いずれにしましても、発生確率が高まることを考えると気の抜けない状況にあります。

  また、昨年の施政方針において、「地球温暖化の時代は終了し、地球沸騰の時代が到来した」との国連事務総長の発言を紹介いたしました。しかしながら、地球の沸騰を鎮めるための方策はなかなか進んでいない状況であります。

  昨年7月には、埼玉県南部にダウンバーストとみられる激しい風雨が発生しました。短時間ではありましたが、経験したことの無いような暴風雨で皆さんも驚かれたのではないでしょうか。また台風も大型化し、進路予想も発表のたびに変わるものもありました。東京大学の教授が「凶暴な台風が珍しいものではなくなる可能性も真剣に考えなくてはいけない」とお話されていました。私もこれからの台風は大型化し、凶暴化してくることを想定しなければならないと考えております。米国では昨年10月に立て続けに大型ハリケーンが襲いかかりました。一例としては、ハリケーン「ヘレン」、そして、ヘレン本体より先行した暴風雨によって降った雨は天文学的な雨量であり、151兆リットル、この雨量は、カリフォルニア州とネバダ州の州境にある湖、タホ湖の貯水量相当とのことであります。皆さんはこの数字、想像できますでしょうか。タホ湖を調べてみますと、面積は500平方キロメートル、平均水深301メートル、貯水量1,510億立方メートルであります。参考までに、琵琶湖の貯水量は275億立方メートルなので琵琶湖5.5杯分になります。そのように言われてもやはり想像もつかない程の雨量かと思います。

  世界各地での争い、沸騰化といわれる地球、これらは人間によって起こしてしまった事象であり、まさに人々の英知と努力をもって収めることは可能なことではあると思いますが、紛争は様々な要因があって勃発します。気候変動対策も直ぐに効果が現れるものではありません。しかし、見過ごすわけにはいきません。世界中の人々が決して他人事として捉えず、気概ある行動が必要だと考えます。

  少し広義な話になりましたが、この気概こそが、私がいつも申し上げている「政治と行政の原点は市民の命を守ること」、この信念につながるものと考えております。

  引き続き、市民の皆様がいつまでも安心して暮らしていくことができるよう、災害対応をはじめ、社会・経済情勢に応じた予算措置を行うなど全方位型の行政運営で臨んでまいる所存でございます。

誕生から20年

  さて、次に冒頭で少し触れました20周年を迎えるに当たり、これまでを少し振り返ってみたいと思います。

  平成16年に当時の上福岡市と大井町により、合併協議会が設置されました。協議により、合併という非常に大きな決断をし、「ふじみ野市」が誕生いたしました。

  ふじみ野市の誕生により、行政事務の効率化による行政経費の削減を図ることができました。さらに、合併特例債や合併算定替えなど大きな財政的恩恵を受けることができました。この合併による特例を最大限に活用することによって、限られた財源を活用しての施策展開を幅広く推し進めることができました。

  教育の分野におきましては、小中学校の耐震補強、大規模改造、普通教室等へのエアコンの設置など、子どもたちの学習環境を良好なものとすることができました。また、緊急防災減災事業債を活用し、県内に先駆けて、市内全校の体育館へのエアコンの設置をすることができました。

  また、日々の暮らしで排出されるごみ処理の関係では、老朽化していた2つの清掃センターを廃止し、三芳町との共同事業によりふじみ野市・三芳町環境センターを設置することができました。この施設は、災害時に備え、大量の可燃ごみをストックできる大規模なピットを備えた焼却施設となっております。また、旧清掃センター解体後の敷地につきましては、駐車場として整備し、災害時には不燃ごみなどの一時置き場とすることができます。

  さらに、災害関連といたしましては、台風や豪雨被害の発生を最小限にするために、関越自動車道の西側に雨水貯留浸透施設を3基設置し、併せて、市民の皆様のご協力の下、各戸貯留浸透桝を1,050基設置することができました。これにより、雨水流出抑制を大きく改善することができました。さらに、内水氾濫の事態を受けて、排水ポンプ車の配備をいたしました。また、福岡江川の浸水対策として、国道254号バイパス沿いの区画整理事業地内に整備予定の調整池について、周辺地域の内水氾濫を考慮し、容量を拡張していただくための補助金を支出いたします。さらに、川越江川の内水氾濫対策として、現在、川崎調整池の整備を進めているところでございます。

  また、健康づくりといたしましては、平成27年に「元気・健康都市宣言」をいたしました。この理念を基本に、体の健康づくりとして、大井武蔵野の清掃センター跡地に人工芝の多目的グラウンドを設置したことをはじめ、総合体育館のリニューアルや周辺スポーツ施設の更新、運動公園の更新や拡張、さらに、旧福岡高校跡地を第2運動公園として整備するなどスポーツ施設の充実を図ってまいりました。そして、令和6年度には初めて全市を挙げてのオールふじみ野市民スポーツフェスティバルを開催し、多くの市民の皆様にご参加いただきました。

  スポーツが体の健康を維持するものであるならば、文化芸術は心の健康づくりにつながるものとの考え方の下、文化施設の整備を進めてまいりました。ステラ・イースト多目的棟の大規模改修やステラ・ウェストの建替えを行い、現在、ステラ・イーストホール棟の建設工事を進めております。併せて、上福岡西公民館のリニューアルに向けた整備も進めているところでございます。また、文化・芸術活動を行っている方々によりまして、ふじみ野市文化協会も発足し、市民の作詞・作曲によって「ふじみ野音頭」「We Love ふじみ野 (注意)」も誕生いたしました。さらに、振り付けや普及啓発につきましても邦舞連盟の皆様によって熱心に進めていただいております。市民による文化活動もこうした盛り上がりを見せている中、令和7年度の20周年記念事業として、ベートーヴェン交響曲第9番第4楽章をメインとしたクラシックコンサートをはじめ、市民企画の様々な事業の準備が進められております。

  このように一歩一歩着実に歩みを進めてきたふじみ野市でありますが、決して忘れてはならない事故や事件もありました。

  平成18年には市立大井プールにおいて1人の尊い命が失われるという痛ましい事故がありました。どれだけの時が流れようとも、忘れることのない記憶として、私たちの胸に、刻まれております。全職員が二度とこのような事故を起こさないという意識の下、公共施設の安全点検を毎年実施し、安全・安心な施設運営に努めてまいりました。

  また、令和4年には地域医療と介護を支える医師らが患者の家族の銃弾により死傷するという痛ましい立てこもり事件がありました。これを受け、医療・介護の関係者と話し合い、安心して医療や介護サービスを受けることができる地域社会の構築を目指し、「地域の医療と介護を守る条例」を制定いたしました。

  こうした繰り返すことがあってはならない事故や事件を教訓として、日本一安全・安心なまちにしなければならない。私は、この責務を全うし続けるとともに、市民の皆様と共に築き上げてきたこのまちを更に光り輝くものとすべく、市政運営を推進していく所存でございます。

(注意)正しくは「ふじみ野」の前にハートが付きます。

令和7年度の予算概要

  さて、令和7年度における政府の一般会計予算案は、過去最大の総額115兆5,400億円となりました。

  一方、地方財政計画では、臨時財政対策債が平成13年度の制度創設以来、初めて新規発行額がゼロとなる中、安定的な財政運営を行うために必要となる一般財源総額について、令和6年度を1.1兆円上回る63.8兆円が確保されました。

  こうした状況の中で編成した本市の令和7年度予算案の概要でございますが、一般会計の予算規模は、527億6,694万6千円で令和6年度と比較してプラス12.1%、56億9,656万4千円の増額となり、過去最大規模の予算案といたしました。

  歳入面では、市税において、個人市民税や固定資産税などの増加を見込み、市税全体では、約13億300万円の増額を見込んでおります。

  歳出面では、ふじみ野市誕生20周年記念事業をはじめ、物価高騰対策のほか、市内イベントの活性化や地域コミュニティの醸成など地域力の向上につながる予算に加え、「子育てするならふじみ野市」を推進するための予算を計上しております。

  普通建設事業では、文化施設やスポーツ施設をはじめ、各種施設の大規模改修工事や空調設備の設置など公共施設の整備を進めていくため、普通建設事業全体では、約79億4,500万円を計上しております。

  この予算を編成するに当たり、これまで計画的に積み立ててきた基金約48億2,200万円を当初予算に繰り入れ、将来世代への過度な負担とならないよう、市債と基金のバランスを考慮しつつ、必要な予算を配分したところでございます。

  続きまして、令和7年度の各部の主な事業につきまして、説明させていただきます。

令和7年度の取組(主な事業)

1 総合政策部

  まず初めに、総合政策部所管の主な取組についてお話しいたします。

  先にお話しいたしましたとおり、令和7年10月1日にふじみ野市は誕生20周年を迎えます。そこで令和7年度は、4月1日から3月31日までの1年間を、20周年をお祝いする期間といたします。

  20周年記念のキャッチフレーズとロゴマークも決まりました。キャッチフレーズは「未来へと 笑顔でつながる ふじみ野市」でございます。子どもたちをはじめ、市民の皆さんの笑顔を増やして次の世代に引き継いでいくこと、これは私が市政を担うに当たり政治信条としていることでもあります。

  この思いを市民の皆様のお力添えをいただきながら形にすべく、20周年事業に係る寄附募集をクラウドファンディングにより行いました。実績として、寄附件数86件、総額357万5千円となり、市内外の多くの皆様から多大なご支援をいただきました。多くの皆様と共に20周年をお祝いできることを大変嬉しく思っております。

  記念事業を通じて、「未来へと 笑顔でつながる ふじみ野市」、このキャッチフレーズに込められた思いを多くの市民の皆様と共有するとともに、実感していただきたいと考えております。

  次に、シティプロモーションについてでございます。

  現在、本市のプロモーションビデオを作成しております。ビデオには、四季折々のふじみ野市の美しい自然やお祭り、市民の暮らしなどが綴られております。20周年記念式典をはじめ、様々な機会にご視聴いただく予定でございます。今後も本市の魅力を広く発信することで、市民の皆様をはじめ、多くの皆様に本市に愛着を抱いていただけるような取組を進めてまいります。

  さて、私が就任以来、政治信念として行ってきたタウンミーティングでございますが、平成22年度から372回、延べ12,000人を超える方々にご参加をいただきました。膝を突き合わせて対話をさせていただくことで、地域の様々な課題に対する意識の高まりや市民ニーズの多様性を直接肌で感じることができます。令和7年度におきましても、引き続き開催し、市政へのご理解を深めていただきますとともに、皆様のご意見を市政に反映させていきたいと考えております。

  次に、デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進についてでございます。

  令和3年度に策定したDX推進方針に基づき、行政手続のオンライン化をはじめとするデジタル化施策を総合的に進め、市民の皆様の利便性の向上や職員の業務の効率化を図ってまいりました。令和7年度もより一層の効果を目指してこれまでの取組を継続し、「離れていてもつながる デジタルの活用で便利なまち ふじみ野」の実現に向け、着実に進めてまいります。

2 総務部

  次に、総務部所管の主な取組についてお話しいたします。

  初めに、防災対策でございます。

  近年、想定外と言われる災害が常態化する中、昨年8月には埼玉県内各所において1時間に100ミリメートルを超える猛烈な雨が降り、記録的短時間大雨情報が発表されました。また、南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されるなど、日本各地で災害が激甚化・頻発化しております。このような状況の中、災害への備えについてはこれまで以上に万全の対策が必要であります。本市では昨年9月に防災情報共有システムを導入し、昨年11月に実施した第13回総合防災訓練では、新システムの実動訓練として、現場からの映像共有訓練や地域防災拠点との交信訓練を実施いたしました。今後は、その訓練結果を踏まえ、実践の場で有効活用を図るための取組を進めてまいります。また、本年4月には市民向けポータルサイトを立ち上げ、分かりやすい防災情報の提供を行ってまいります。震災の教訓を踏まえ、災害対応力の向上を図るため、自助、共助、公助における様々な取組を引き続き実施し、より一層災害に強いまちづくりを進めてまいります。

  続きまして、防犯対策でございます。

  本市におきましては、自治組織やふじみ野市青色防犯パトカー市民パトロール隊、ふじみ野市防犯推進会議の皆様を中心とした防犯パトロールや子どもの見守り活動を行っております。さらに、地域・警察・行政が一体となって行う「官民合同防犯活動」など、幅広く地域の防犯活動を推進しております。令和7年度におきましても、引き続き、地域・警察・関係団体と連携し、犯罪情勢に応じた各種取組を推進し、安全・安心なふじみ野市の実現を目指してまいります。

  次に、職員の採用についてでございます。

  近年、働き手不足が深刻化し、民間企業、国などを含めた採用競争・人材獲得競争が激化しております。そのような中、時代のニーズや受験者目線に立ち、「いつでも、どこでも」を合言葉にした面接スタイルを構築するなど、多くの受験生の獲得に取り組んでいるところでございます。一つの足掛かりとして、本年1月に実施した「二十歳の集い」におきまして、デジタルチラシを用いてPRし、熱意のある受験生を呼び込む取組を実施したところでございます。引き続き、優秀な人材の確保に取り組んでまいります。

  次に、自主財源の根幹をなす市税の収納関連でございます。

  市税の納税率につきましては、令和5年度決算におきましても県内平均を超え、平成23年度から13年連続で上昇し、個人住民税の納税率部門におきまして県内40市中第2位となり、3年連続で知事表彰を受けました。これは、担当職員たちの地道な努力と市民の皆様が納税に対する意識を高めていただいた結果によるものであると考えております。また、令和6年度からは、税外債権の徴収を含めて収納対策を更に推し進めてきたところでございます。今後におきましても、納付環境の整備を進め、税や保険料についての負担の公平性を確保するために収納率の維持・向上に努めてまいります。

3 市民生活部

  続きまして、市民生活部所管の主な取組についてお話しいたします。

  初めに、市民窓口サービスについてでございます。

  本庁、出張所及び大井総合支所の市民窓口において毎年度実施しております来庁者窓口サービス満足度調査では、満足度98%を超える評価をいただきました。自由意見欄では、コンシェルジュによる案内や書かない窓口をご利用いただいた市民の方から多くのお褒めの言葉をいただいております。今後におきましても、市民の皆様の声を真摯に受け止め、より一層の市民窓口サービスの向上や心の籠った接遇を徹底してまいります。

  また、マイナンバーカードの普及促進対策の状況でございますが、本市の交付率は本年1月末時点で87.4%となっており、住民票や印鑑登録証明書の交付を受けた方々のうちマイナンバーカードを活用したコンビニ交付を利用された方が四分の一を超えており、その割合は年々伸びております。引き続き、普及促進に努めるとともに、交付申請の支援に取り組んでまいります。

  次に、戸籍事務についてでございます。

  改正戸籍法の施行に伴い、氏名の振り仮名が戸籍、戸籍附票及び住民票の記載事項となりました。このことを受け、本年5月から本籍地の市区町村長が戸籍に記載予定とされる仮の振り仮名を国民に対して通知することとされております。本市におきましても、本市に本籍を有する方に速やかに通知ができるよう準備を整えてまいります。このことにより、戸籍等に記載された氏名の振り仮名が公証され、本人確認事項として様々なサービスにおいて利用することが可能となり、利便性の向上が図られるものと考えております。

  続きまして、市民総合相談につきましては、これまでも複雑化・多様化する相談ニーズに総合的に対応するため、専門相談の充実や庁内の相互連携による支援などにより、効率的で質の高い相談サービスの提供に努めてまいりました。令和7年度におきましては、年金に関する相談や失業等により支援を必要とする方からの相談に対応するため、「社会保険労務士による年金相談・労働相談」を新たに開設いたします。

  また、DV被害者をはじめとした困難な問題を抱えた当事者への対応につきましては、相談から支援・救済保護までを迅速に行うため、今後も庁内外の関係機関との連携を強化してまいります。

  次に、国民健康保険につきましては、令和6年度を開始年度とする第3期埼玉県国民健康保険運営方針に基づき、埼玉県と共に国民健康保険の保険者として、赤字を生まない健全で安定的な財政運営に責任をもって取り組んでまいります。また、引き続き令和9年度からの保険税水準の準統一に向けた運営を進めてまいります。そして、一人当たりの医療費につきましては、医療の高度化や高齢化などにより今後も伸び続けることが見込まれることから、第3期国民健康保険保健事業実施計画及び第4期国民健康保険特定健康診査等実施計画に基づき、健康、医療情報の分析により被保険者の健康課題を捉え、より効果的な保健事業を行い、健康寿命の延伸と医療費の適正化を目指してまいります。

4 市民活動推進部

  続きまして、市民活動推進部所管の主な取組についてお話しいたします。

  初めに、自治組織への支援についてでございます。

  令和6年度は、自治組織における地域活動の推進や情報伝達の効率化を図るため、デジタル技術の活用に向けた補助制度を創設いたしました。令和7年度におきましても、事業費補助金を拡大するとともに、自治組織の加入率の向上を喫緊の課題として、自治組織や自治組織連合会が行う会員の増加に向けた取組を積極的に支援してまいります。

  また、コミュニティ施設の整備につきましては、総合センターフクトピアの外壁の改修や屋上防水工事を実施するなど、利用者が安心かつ快適にご利用いただけるよう、設備等の修繕を計画的に実施してまいります。

  続きまして、文化の分野でございます。

  現在、整備を進めておりますふじみ野ステラ・イーストホール棟につきましては、いよいよ令和7年秋にオープンいたします。高性能な音響設備を備え、322席の機能的なホールとして生まれ変わります。音楽やダンス、舞踊など多様な舞台芸術等の鑑賞をお楽しみいただきますとともに、日頃の活動の成果を発表する場としてご利用いただきたいと考えております。

  次に、上福岡西公民館の大規模改修工事についてでございますが、基本設計が完了し、現在、実施設計を進めております。本年10月より改修工事に着手し、令和9年夏のリニューアルオープンを目指して整備を進めてまいります。

  一方、ソフト面につきましては、これまで積極的な事業展開を行っており、令和7年度につきましても、ふじみ野市文化協会及び文化施設指定管理者との更なる連携強化を図るとともに、文化団体の活動をより一層支援するなど、ふじみ野文化の発展に取り組んでまいります。

  次に、スポーツの分野についてでございます。

  スポーツ環境の整備といたしまして、駒林体育館及び上野台体育館に空調設備を設置し、令和7年春よりオールシーズン、安全に安心してスポーツが楽しめるよう、現在、整備を進めているところでございます。また、総合体育館につきましては、令和7年度から令和8年度にかけて空調工事を実施し、令和8年秋の完成を目指して整備を進めてまいります。

  そして、性別、年齢、国籍、障がいの有無、経済的事情に関わらず、誰もが「スポーツに出会い 楽しみ つながるまち ふじみ野」の実現に向け、取り組んでまいります。

  続きまして、環境の分野に関する取組についてでございます。

  3R推進事業につきましては、大規模地震や集中豪雨により被災地においては膨大な災害廃棄物が発生している状況の中、本市では昨年3月に「災害廃棄物処理計画」を策定し、第13回総合防災訓練において検証を行いました。令和7年度は本計画に基づき、住民への周知や職員の初動対応の整備等、災害後、市民生活の回復のために急務となる災害廃棄物処理についての備えを進めてまいります。また、廃棄物を取り巻く様々な問題の解決や持続可能な社会の実現に向けた施策を引き続き展開してまいります。

  続きまして、産業振興の分野についてでございます。

  令和7年度は、本市における創業者への支援を強化するため、令和6年度に創設した創業支援事業ステップアップ補助金を拡充いたします。

  さらに、ふじみ野市観光協会により誕生20周年記念事業として行っていただきます地酒づくりにつきましては、本市で収穫したお米を原料としたお酒づくりでございます。この取組は、本市のシティプロモーションとしても効果があり、地産地消の推進、地域経済の活性化にもつながるものと考えております。また、上福岡七夕まつりにつきましても、20周年記念として事業費の拡充を行います。市内外からお越しになる皆様にも20周年を一緒になって盛り上げていただければと期待をしているところでございます。

  次に、農業支援策でございますが、認定農業者等への支援といたしまして、農業機械の購入や施設等の整備に係る費用を補助する農業生産改善事業補助金を更に拡充いたします。また、令和3年度に開設いたしました「農業入門塾」につきましては、令和7年度から第3期が始まります。引き続き、新規就農のきっかけ作り及び農業に対する意識の高揚を図ってまいります。

  次に、農業委員会につきましては、令和7年度が委員の改選期となっております。新たな体制の下、更なる農地利用の最適化が図れるように、引き続き、農業委員会と連携して調査研究に努めてまいります。

5 福祉部

  次に、福祉部所管の主な取組についてお話しいたします。

  少子化や核家族化が進み、人と人とのつながりの希薄化による孤独・孤立への対策が重要性を増しております。一人暮らしの高齢者も年々増加しており、本市では、支える人、支えられる人に固定されることなく、お互いに支え合う地域づくりを目指した事業展開を図ってまいりました。令和6年度には、生活支援コーディネーターの増員を図り、コミュニティソーシャルワーカーと連携して、地域での緩やかな見守りや、世代や属性による縦割りではない居場所づくりの促進に努めております。令和7年度におきましても、地域の多様な人材を掘り起こし、自分ごととして地域課題を捉えて活動する方を増やし、様々な場への橋渡しを行いながら、地域の特性や地域資源を活かした居場所の立ち上げや継続を支援し、ふじみ野市らしい地域づくりを進めてまいります。

  また、「ふじみんぴんしゃん体操」を行っていただくための地域住民主体の通いの場につきましても、高齢者の社会参加の場であり、居場所ともなっておりますことから、地域包括支援センターを中心に、更なる増設を支援するとともに、介護予防・フレイル予防といたしまして、介護予防センターや大井総合福祉センターのふじみんぴんしゃんホールを中心に、引き続き多種多様な事業を展開してまいります。令和7年度には、新たに大井総合福祉センターにおきまして、トレーニング機器の活用を含めたリハビリテーション専門職による効果的な運動の助言や指導を行う事業を実施してまいります。

  また、近年、高齢化が進む中、認知症を発症する方が増加しております。そのような状況の中、認知症は誰でもなり得ることを前提に、認知症になっても住み慣れた地域で希望を持って自分らしく生きられる社会を実現するという「新しい認知症観」に立った取組を推進するため、昨年12月に国の「認知症施策推進基本計画」が閣議決定されました。本市では、同年10月から各地域包括支援センターの認知症地域支援推進員の拡充を進め、認知症の正しい理解のための周知啓発と、認知症の人や家族に対する支援の充実を図っているところでございます。令和7年度には、本市の認知症施策推進計画策定に向けて認知症の人とそのご家族へのヒアリングやアンケート調査を実施してまいります。

  また、成年後見制度につきましては、成年後見センターを中心に制度の利用促進を図るとともに、平成28年度から市民後見人養成のための講座を開催し、昨年12月には、ふじみ野市初となる市民後見人が選任されたところでございます。令和7年度も、同じ地域に暮らし、ご本人と同じ目線で考え、寄り添った支援を実践する市民後見人の養成を進めてまいります。

  さらに、「地域の医療と介護を守る条例」に基づき、医療・介護事業者などと連携して市民へのハラスメント防止の啓発を継続し、地域の医療・介護従事者を守り、市民の皆様が安心して必要な医療や介護を受けていただける体制を確保してまいります。

  次に、障がい者支援といたしましては、障がい者本人やご家族からご要望をいただいておりました余暇活動の充実に向けた支援として、昨年10月に大井総合福祉センター3階に「りあんスペース」を設置したところでございます。令和7年度につきましても、当事者のご意見を伺いながら、障がい者の余暇活動の場として、障がい者が自由に過ごせ、障がいのある方もない方も交流できる居場所となるよう、更なる充実に努めてまいります。

  また、令和7年度には、医療的ケアが必要なお子様の成長過程に合わせたサービスや相談先などの情報をまとめたガイドブックを作成し、必要な相談や支援に適切につながるように役立てていただきたいと考えております。

  さて、令和7年度は、地域住民の相談役となり、困りごとを抱える方を行政や専門機関につなげるための重要な役割を担っていただいております民生委員・児童委員の改選の年となっております。全国的にも担い手不足が課題となっている中、地域の推薦準備会のご協力の下、候補者の選出を進めてまいります。また、令和6年度に本市で導入いたしました「民生委員協力員制度」の活用によりまして、民生委員の負担を軽減してまいります。

  本市では、これまで制度の狭間の問題を抱える方や多様な問題を抱える方々を支援するための組織体制の構築について先進的に取り組んできたところでございます。令和7年度におきましては、生活困窮者の就労準備支援や家計改善支援などを生活保護受給者への支援と一体的に実施し、関係機関が連携して生活の自立に向けた支援に取り組んでまいります。また、子ども食堂等をはじめ、地域での居場所を提供している団体の活動支援のため、食材の寄附を受け入れるための冷凍冷蔵庫を本庁及び大井総合支所内に設置する予定でございます。今後も、関係部署が地域の関係者の皆様と連携し、誰一人取り残さない地域共生社会を目指してまいります。

6 こども・元気健康部

  次に、こども・元気健康部所管の主な取組についてお話しいたします。

  私は、就任以来、「子ども優先のまちづくり」を大きな政策の柱として掲げてまいりました。

  本市の、そして日本の未来を担う子どもたちが心身ともに健やかに育っていけること、子育て世代が安心して子育てできること、11万4千人の全ての市民が日々健康で笑顔で暮らせることを目指し、令和7年度も引き続き全力を尽くしてまいります。

  まず、放課後児童クラブの整備についてでございます。

  令和6年度から整備を進めております第4東原放課後児童クラブは、現在、建物の外装と内装工事が並行して行われており、予定どおり進んでいるところでございます。放課後の時間帯における適切な遊び及び生活の場、健全育成の場として、令和7年度から供用開始できる見込みでございます。

  次に、こども計画についてでございます。

  令和7年度を計画の初年度とするこども計画は、パブリックコメント及び子ども・子育て会議における最終的な審議を経て答申をいただいたところでございます。地域や社会が子育て世代に寄り添い、子育てに対する不安や孤立感をなくし、安心して子育てができる環境を整えること、さらには子育てや子どもの成長に喜びや生きがいを感じられるよう、計画を実践してまいります。

  次に、児童発育・発達支援センターについてでございます。

  令和6年度にモデル事業として実施いたしました「就学児巡回相談支援事業」を令和7年度から拡充し、小学校全校を対象として実施いたします。この事業は、公認心理師等が発達に不安のある児童の学校生活においての様子を確認した上で、当該児童の指導に当たる教員等に対し、児童への関わり方や保護者へのアプローチ方法等についての相談支援を行うものでございます。児童発育・発達支援センターにおける就学前児童への療育に加え、就学後の児童が不安なく学校生活を送れるよう努めてまいります。

  次に、保育所についてでございます。

  民間保育所の保育士の処遇改善につきましては、以前から取り組んでいるところでございますが、これを更に拡充いたします。具体的には、保育士のうち、正規職員の補助を25%増額して1万8千円とし、臨時職員につきましても、正規職員と同様に一人当たり25%増額して9千円といたします。処遇改善を進めることにより、本市の民間保育所の保育士採用を支援してまいります。

  次に、アピアランスケア及びAYA世代がん患者の在宅療養支援についてでございます。

  令和7年度から、がん治療に伴う外見の変化を補うためのウィッグや補整下着等の購入費用について、助成を行ってまいります。また、15歳から39歳までのがん患者の在宅療養につきましても、訪問介護、福祉用具の購入等を助成し、がん患者の経済的負担を軽減するとともに、生活の質の向上を支援してまいります。

  次に、帯状疱疹ワクチン接種についてでございます。

  帯状疱疹ワクチン接種は令和6年度までは任意接種でございましたが、国は帯状疱疹を予防接種法のB類疾病に位置付け、令和7年度からワクチン接種を定期接種化するとともに、その対象者、使用するワクチン、接種方法等を定めました。これを受けまして、本市といたしましても、帯状疱疹の重症化予防のため、令和7年度から東入間医師会のご協力の下、ワクチン接種を進めてまいります。

  次に、こども家庭センターについてでございます。

  児童福祉法の改正に伴い令和6年度に設置いたしましたこども家庭センターにおきましては、児童福祉と母子保健が連携を深めながらケースに応じたサポートプランを策定し、当該プランに沿った支援を展開しております。また、小中学校の養護教諭と意見交換を行うなど活動の幅を広げているところでございます。引き続き、児童福祉と母子保健が適切に連携・協力することにより、妊婦、子ども、保護者に対する一体的な支援を行ってまいります。

7 都市政策部

  続きまして、都市政策部所管の主な取組についてお話しいたします。

  初めに、運動公園の更新事業についてでございます。

  運動公園野球場につきましては、築40年以上が経過し、フェンスやダッグアウトをはじめ、施設全体の老朽化が進んでおります。ふじみ野市スポーツ協会や利用者のご要望を精査した結果、グラウンドにつきましては、内野は黒土、外野は人工芝で整備し、特にご要望がございましたスコアボードにつきましても、新たに設置する計画で改修工事を行ってまいります。

  また、第2運動公園体育館及び武道館につきましても、施設改修や空調設備の整備など、改修工事に向けた基本設計・実施設計を行ってまいります。

  次に、空家対策についてでございます。

  本市では、第2期空家等対策計画に基づき、総合的かつ計画的な空家対策として、空家化の予防、空家等の利活用・流通の促進及び良好な住環境の保全に取り組んでおります。令和7年度は、空家等の適切な管理の促進といたしまして、空家等対策の推進に関する特別措置法に基づき、空家等の管理不全に関する判定マニュアルを空家等対策協議会に諮り、空家等の管理不全の解消に向けた指導の一層の強化を図ってまいります。

  次に、道路舗装補修事業についてでございます。

  橋梁長寿命化計画に基づき、軽度な損傷が深刻化する前に補修工事を行う予防保全による維持管理を基本とし、施設の長寿命化によるライフサイクルコストの縮減、修繕費用の平準化を図りながら修繕を実施しているところでございます。令和7年度は、苗間地区の砂川掘雨水幹線に設置しております「栄橋」の補修工事を実施し、橋梁の長寿命化を図るとともに、将来にわたって安全・安心を確保してまいります。

  次に、交通安全対策についてでございます。

  本市におきまして、生活道路における歩行者等の安全な通行を確保することを目的としたゾーン30に指定された区域が5か所ございます。その中で生活道路対策エリアでもある駒西区域におきまして、最高速度30キロメートルの規制と、ポストコーンや車止めなどによる狭窄、ハンプ等による物理的デバイスを適切に組み合わせて、ゾーン30プラスの設定を進めております。引き続き、生活道路における歩行者等の安全な通行を確保するため、国土交通省、関東地方整備局大宮国道事務所、埼玉県川越県土整備事務所、埼玉県警察などの関係機関、そして地域の皆様と連携を図り、ゾーン30プラスの設定を目指してまいります。

  次に、シェアサイクル事業についてでございます。

  本市では、令和3年度からシェアサイクル実証実験を実施してまいりました。公共交通機関の補完等の事業効果や利用実績等を検証した結果、シェアサイクルが手軽に利用できる新たな交通手段として広く市民に浸透していることが確認できたことから、令和7年度から本格運行に移行し、公共交通の更なる利便性の向上を図ってまいります。

  続きまして、雨水対策についてでございます。

  江川3号都市下水路、通称、川越江川の下流部における浸水被害の軽減を図るべく、現在、川越市、埼玉県、関係地権者、及び葦原中学校関係者等と調整を図るとともに、地域にお住いの皆様のご理解をいただきながら、川越市と共同で本市川崎地区内に調整池及びポンプ場の整備を進めているところでございます。令和7年度におきまして、築堤の盛土、取水堰や導水渠、排水ポンプ場を設置し、調整池の整備が完了いたします。地域の安全・安心につながる事業であることから、一日も早い完成を目指して整備を進めてまいります。

  次に、水道事業についてでございます。

  これまで、耐震性の低い石綿セメント管の更新事業を実施してまいりました。継続的に更新作業を進めてきた結果、令和7年度中には、石綿セメント管の更新が全て完了する予定でございます。石綿セメント管の更新が完了した後には、旧市町の行政境により分けられている配水区の再編準備を進めるとともに、石綿セメント管以外の配水管につきましても、管路更新計画に基づき、順次、優先度の高い老朽管を更新してまいります。

  さて、八潮市において下水道管の破損に起因すると考えられる道路陥没が発生しました。本市においては、国が緊急点検を指示した口径に該当する管はありませんでしたが、この度の事故を受け、早急に点検を行ったところでございます。今後におきましても、同様の事故が発生しないよう、これまで以上に適切な管理に努めてまいります。

8 教育部

  最後に、教育部所管の主な取組についてお話しいたします。

  初めに、学校教育の分野についてでございます。

  「子ども優先のまちづくり」を政策の柱として掲げている中、教育の分野においても、ハード・ソフトの両面におきまして、児童生徒の安全で良好な教育環境の構築に向けて積極的に取り組んでまいりました。特に、児童生徒の学習環境については、学校訪問として市内全ての小中学校を訪問し、子どもたちの様子や学校の様子を自分の目で確かめてまいりました。そして、事業の採択や予算編成に当たりましては、そのときの子どもたち一人ひとりを思い浮かべながら判断し、施策に反映してまいりました。令和7年度も将来を担う子どもたちのために、より良好な教育環境を整えていくとの思いの下、積極的に事業を展開してまいります。

  さて、児童数の減少が進んでいた東台小学校につきましては、小規模校に起因する課題の解決を早期に図る必要があると判断し、学校規模の適正化に向けて、令和7年4月1日に東原小学校と統合することを決定いたしました。令和6年度におきましては、両校の子どもたちが不安なく新たな東原小学校に通い、楽しく充実した学校生活を送ることができるよう、保護者や地域の皆様のご理解、ご協力をいただきながら様々な交流事業や支援策を展開してきたところでございます。令和7年度におきましては、統合による環境の変化によって不安や悩みが生じた場合のサポート体制の充実を図るため、心の専門家であるスクールカウンセラーを常時配置いたします。また、増加する児童数への対応や良好な教育環境を整えるため、校舎の拡充に向けての増築棟の新築工事を進めるとともに、既存校舎の大規模改造工事に向けた設計業務に着手してまいります。

  なお、東台小学校の今後の活用につきましては、市民の皆様の貴重な税金で建設した大切な教育資源でありますので、教育施設として活用したいと考えておりました。具体的な活用方法としては、私学や県立学校として活用していただけないものか、情報収集を行ってまいりました。また、以前より特別支援学校の設置について多くの要望を受けていたことも踏まえ、埼玉県に対して、県立特別支援学校の誘致を要望してきたところ、この度、埼玉県において、設置の方向性が示されました。今後におきましては、地域に開かれた特別支援学校となるよう、埼玉県と協議を進めてまいります。

  このほか、小中学校の学校施設の改善に向けた事業といたしましては、引き続き大井東中学校、福岡中学校の校舎大規模改造工事を進め、令和7年度からは、新たに花の木中学校の工事に着手するとともに、照明のLED化を終えていない小中学校10校について2か年かけて工事を実施してまいります。

  また、現在、国から賃借しております上野台小学校の学校敷地につきましては、将来的な財政負担の軽減を図るため、取得に向けて準備を進めてまいります。

  次に、学校給食につきましては、物価高騰への対応として、令和4年度より保護者に負担を求めることなく賄材料費の不足分を公費により補填してきたところでございます。令和7年度におきましても、引き続き、子育て支援策の一環として、公費による補填を継続してまいります。また、給食調理業務の安定的な業務継続を図るため、あおぞら学校給食センターのボイラーの更新を行います。さらに、厨房機器類につきましても、令和7年度より3か年かけて計画的に更新してまいります。

  続きまして、社会教育の分野についてでございます。

  社会教育事業につきましては、社会教育主事など専門的な職員体制の充実を図り、関係部局との連携を強化するとともに、施設や組織に捉われない社会教育事業の更なる推進を図ってまいります。

  上福岡図書館につきましては、大規模改修工事を終え、2月1日にリニューアルオープンいたしました。令和7年度よりスタートする「第4期市立図書館サービス計画」の推進に向けて地域の情報拠点として、市民の学びを支え、市民と共に歩む図書館としての機能を果たしてまいります。

  また、現在、上福岡歴史民俗資料館と大井郷土資料館を統合し、新たなふじみ野市の資料館の整備事業を進めており、令和7年度より大規模改修工事に着手いたします。本市の歴史や文化を総体的に学べる施設として、また、様々な社会教育活動にも活用できる施設として、名称を「博物館」と改め、令和8年秋のリニューアルオープンを目指してまいります。

  さて、令和7年度より、本市の新たな「第3期教育振興基本計画」・「教育大綱」がスタートいたします。生涯学習体系の基盤となる学校教育と社会教育の融合を進め、学校・家庭・地域が連携・協働して子どもたちを共に育む「共育」の推進を図ってまいります。そして、学校を核とした人づくり、地域づくりの好循環を生み出し、市民全体、地域全体へとWell-Beingの深化に向けて取り組んでまいります。

結びに

  さて、皆さんも報道等でご承知のことと思いますが、オーストラリアではSNSを起因とするいじめなどで子どもの自殺が相次いで起きており、また、暴力や違法薬物の使用など犯罪を誘発する動画規制を求める声も数多く上がっていたようです。そのような中、昨年11月、オーストラリアの議会において16歳未満の青少年を対象としてSNSを禁じる法案が可決されました。オーストラリアの首相は、可決後の記者会見において、SNSの運営企業に対して社会的な責任を果たさせることを盛り込んだ先進的な取組であることを強調していました。具体的には、子どものアカウント取得を防ぐ措置を講じることを運営企業側に義務付けを行ったとのことであります。違反した場合には日本円に換算し、最高約50億円の罰金が科されるものとなっています。オーストラリアでの世論調査では77%がこの法律を支持する結果も出ており、かなり深刻な事態であったことが想像できます。

  これは、我が国においても、遠く離れた外国での出来事と見過ごす訳にはいかないのではないでしょうか。警察庁の資料によりますと「令和4年におけるSNSに起因する事犯の被害児童数は、1,732人であり、前年からは4.4%減少したもののおおむね横ばい状態であり、依然として高い水準で推移している」とあり、さらに、「被害児童を学職別で見ると高校生と中学生で全体の89.5%を占めている。また、小学生は114人であり、前年と比較して37.3%増加している」とありました。我が国においては、青少年の適切なインターネット活用能力の習得とフィルタリング等を推進することを目的として、平成20年に「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」を制定しました。同法に基づく第6次の青少年インターネット環境整備基本計画では、青少年が自立的・主体的にインターネットを活用できる能力の向上の促進、技術的手段による青少年保護の推進、教育的手段による青少年保護の推進の3点がポイントとされました。利用の制限というよりは利活用前提で保護者が管理するということを基本に、正しく使うという方向性が示されたものと思います。

  一方、規制の法律を制定したオーストラリアにおきましては、ユニセフなど子どもの権利擁護団体は、子どもの表現の自由や権利を妨げるとして懸念を表明しました。

  子どもに限らず人間の命や犯罪被害を考えると、単純に権利と天秤にかけられる話ではありません。しかし、表現の自由や子どもの権利も大変重要であると考えます。それだけに非常に難しい問題であると思います。オーストラリアでは、多くの世論の後押しもあり、法律の制定に至ったものと思います。いずれにしましても、我が国においては今お話しした方向で進められております。そして、本市においては、公立の小中学校においてソーシャルメディアなどについてのリテラシー教育を行っております。もちろんそれだけで十分とは言えません。家庭での教えも必要です。加えて、地域や社会での見守りも必要であると思います。本市では「こどもの未来を育む条例」を令和4年に施行いたしました。条例では、こどもの権利と併せて、市の責務、そして、保護者や地域住民の役割も示させていただきました。今お話ししておりますインターネットの利用に限らず、成長していく子どもたちが直面する様々な課題や問題に対処していかなければなりません。こどもたちの権利は尊重しつつ、夢と希望を抱きながら、生き生きと成長していくことができる、こどもにやさしいまちの実現のため、引き続き、「オールふじみ野」で取り組んでまいる所存でございます。

 

  さて、間もなく本市は、誕生20周年の節目を迎えようとしております。これほど着実な歩みを進めることができたのは、合併特例法による財政的な特例を最大限活用することができたことも一つの要因であると考えます。しかし、それだけではありません。旧上福岡市、旧大井町において培ってきた経験を融合し、ふじみ野市龍を作り出そうという機運が高まりをみせ、新たなまちの風土が創り出されてきたことも大きな要因であると考えます。そして何より、市民の皆様の熱い思いがあったからこそ、今日に至ったものと考えます。

大きな節目を迎えようとしている今、市民の皆様と共に、新たなステージに向けて力強く踏み出していきたい。

まだまだ成長するこのまちを、未来に向けて、今、ここからであります。

少子高齢化、人口減少化社会を迎える中、市民の皆様の熱い思いと共に、ふじみ野市を「誰もが 住みたい 住み続けたい」と思っていただけるまちにしたい。

 

  だからこそ、

このまちで暮らす

全ての市民が一つの家族のような

あったかいまちにしたい

 

  そして何より大切なことは、

子どもたちの笑顔を増やすこと

 

  この思いを胸に、市民の命と暮らしを守ることを第一に、引き続き全身全霊で取り組んでゆく所存でございます。

市民の皆様、そしてここにお集まりの議員の皆様におかれましては、なお一層のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、私の令和7年度施政方針とさせていただきます。

 

令和7年2月21日  ふじみ野市長  高畑  博

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