平成30年第1回ふじみ野市議会定例会市長施政方針
平成30年第1回ふじみ野市議会定例会 市長施政方針 (PDFファイル: 403.4KB)
平成30年第1回ふじみ野市議会定例会の開会に当たり、私の施政方針を謹んで申し上げ、市議会の皆様と市民の皆様のご理解とご賛同を賜りたいと存じます。
私は、昨年10月の市長選挙におきまして、多くの市民の皆様からご支持をいただき、引き続き市政を担わせていただくことになりました。
この節目に当たり、改めて私の行政経営に死角はないか、そして、ふじみ野市の持続的な成長に疑問符はないか、ということを常に自分自身に問いかけながら、初心を忘れず、3期目のふじみ野市政の舵取り役を全力で果たしてまいります。
はじめに
さて、平成29年の世界の動きに目を向けますと、平成23年に始まったシリアの内戦は周辺国を巻き込んで現在も続くほか、様々な事件・事故が多発しました。
中東に限らず世界各地で頻発する爆弾テロや銃乱射事件などにより、罪のない人々が殺傷されるという痛ましいニュースを聞くたびに、日本の治安の良さにひとまず安堵するところであります。
しかしながら、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル発射による地政学リスクは世界経済に影響を与えるとともに、隣国の日本にとっては最大の脅威となっております。
昨年のミサイル発射回数は16回にのぼり、そのうちの数発は日本海に落下、数発は日本の上空を通過するという脅威が続きました。
埼玉県は対象地域ではなかったものの、Jアラートによる緊急速報には誰もが驚かされ、どのように行動したら良いのか戸惑ったことと思います。
また、アメリカを直撃した大型ハリケーン、メキシコや台湾を襲った大地震などの自然災害も世界各地で発生しました。
国内では九州北部豪雨災害などの台風被害が各地で発生したほか、今年に入ってからは草津白根山の噴火、そして、1月下旬の記録的な寒波による大雪は関東地方にも及び、その影響から市内でも水道管の凍結・破裂による問合せは500件以上にのぼりました。
そして、私たち、ふじみ野市民にとって最も影響が大きかったのは台風第21号による浸水被害でありました。
台風第21号による浸水被害
昨年10月は、市長選挙に加えて急きょ衆議院の解散、総選挙の執行が決まり、また、台風第21号による浸水被害の発生という緊急事態となりました。
被災された方々には、大変ご苦労されたことと、改めてお見舞い申し上げる次第でございます。
私自身も防災服を着用したまま、公務を遂行するという状態が続いておりましたが、市職員が一丸となって、この難局を乗り越えてくれたことを大変誇りに感じております。
この台風による最終的な被害状況は、床上浸水227棟、床下浸水90棟。
そして、入間東部地区消防組合からは、要請があった元福岡地区の住民14名をゴムボートで救助したとの報告を受けております。
長時間の大雨が続いて累加雨量が200ミリを超える状態となり、江川流域都市下水路の溢水と内水滞留により広範囲の浸水被害が発生してしまいました。
私は、これまで浸水被害を解消するため、雨水貯留浸透施設や調整池を増設するなど、「災害に強いまちづくり」に向けて重点的に取り組んでまいりましたが、予想を遙かに超える被害となってしまいました。
10月22日午後3時に災害対策本部を設置して以降、連日の本部会議を重ねてまいりました。
被災地域の現状と被災者からの要望を把握する中で、優先すべき市の対応や被災者支援の検討、市役所内部の情報共有や川越市との調整、そして、国・県への支援要請など、市として考え得る対策を講じてまいりました。
一方、自治組織連合会や民生委員・児童委員協議会連合会の皆様からの募金、また、産業まつりや公民館文化祭などのイベント会場での募金、市職員からの募金は、合計すると約250万円にものぼりました。
「被災して困っている方々を支援しよう」という様々な温かい呼びかけと、これほどまでの浄財が集まったことに、「一つのふじみ野」「絆」といった言葉が脳裏に浮かびました。
こうした浄財は、被害状況に応じて四つの自治組織に按分し、防災備品の購入などに使用していただくようお渡ししたところでございます。
今回の浸水被害の原因解明及び今後の内水対策に関しましては、川越市と協力しながら検証準備会議、更には附属機関としての検証委員会へと引き継ぎ、専門家による検証を進めることとなっております。
また、市独自の対策といたしましては、住民の不安解消を第一に考え、浸水被害の恐れがある地域を対象に水防訓練を実施するほか、現地の状況把握や行政からの情報を住民へ確実に伝えるための現地対策本部の設置も検討する必要があると考えております。
全国的に、高齢化の進展による単身世帯の増加や人間関係、地域のつながりの希薄化などにより、防災力の要となる自助・共助は、徐々にその力を弱めていると言われております。
そして、防災関係者の間では「災害は弱い者に、より厳しい」とさえ言われております。
こういう時だからこそ、コミュニティを醸成して地域の絆をより強固なものとしていかなければなりません。
「政治と行政の原点は市民の命を守ること」
これが私の基本理念であります。
市民の命を守る。
そして、我がふじみ野市を「災害に強いまち」にする。
私たちの力で、このまちを「日本一災害に強いまち」へとつくりあげようではありませんか。
今後4年間の行政運営 ー 市政改革宣言・第3章 ー
さて、いよいよ、平成30年度からは「ふじみ野市将来構想from2018to2030」がスタートいたします。
目標年次2030年の人口ピークを想定し、「人がつながる豊かで住み続けたいまちふじみ野」の実現を目指すものであります。
当然ながら、基本構想や前期基本計画に基づき取り組む訳でございますが、市長選挙において私が市民の皆様にお示しした公約は、今後4年間の行政運営に関する私自身の指針となるものであります。
全ての分野を詳細に言い尽くしているものではございませんが、この場でご説明させていただき、議員各位にもご理解いただければと存じます。
子ども優先のまちづくり
初めに、将来を担う子どもたちのための子育て環境と教育環境の充実についてでございます。
「子ども優先のまちづくり」は、就任当初から一貫した私の政策であり、平成29年度からは「こども・元気健康部」を新設し、従来以上にスピード感を持ち、より的確な子育て支援に取り組んでいるところであります。
これまでの7年間で、8か所の民間認可保育園の建設を支援した結果、約820名の受入増となり、さらに、この4月からは認定こども園などの新設により受入数が概ね220名増加いたします。
国の支援メニューも視野に入れながら引き続き、民間認可保育園の新設や運営、保育士の確保を支援して待機児童ゼロを実現するとともに、多子世帯への新たな支援に取り組んでまいります。
また、子育て支援拠点を充実するため、保健センターとの連携による子育て世代包括支援センター2か所を核とし、妊娠から出産、子育て期にわたる切れ目のない支援を強化してまいります。
そして、教育環境を改善するため、これまでに小中学校の校舎・体育館の耐震補強工事とエアコンの設置などが終了したほか、校舎の大規模改造工事とトイレ改修工事の計画的な実施、学校給食センターや放課後児童クラブの建て替え、西児童センターや児童発育・発達支援センターの新設など、合併特例債を有効に活用しながら様々なハード面の環境整備を実施してまいりました。
今後も校舎の大規模改造工事を継続するとともに、災害時に指定避難所となる体育館のトイレ改修工事も重要な検討課題であると考えております。
一方、教育環境におけるソフト面の取組として、学校・家庭・地域がパートナーとして連携し、社会動向に目を向けた教育を展開するため、コミュニティ・スクール(地域協働学校)を全ての小中学校に拡大し、学校を核とした人づくりとまちづくりの好循環を生み出す体制を進めてまいります。
また、親の貧困が子どもの未来を奪うことがないよう、就学援助費の支給に関する制度を充実するとともに、高校・大学への入学準備金と奨学金貸付の制度を再構築し、就学に係る経済的負担の軽減を図ってまいります。
以上のような施策展開を図りながら、「このふじみ野市なら多くの子どもを安心して産み育てられる」と思っていただける「子育てや教育の充実したまち」を目指してまいります。
誰もが健やかに暮らせるまちづくり
2点目は、障がいのあるなしや年齢にかかわらず、誰もが健康で元気に暮らせるまちづくりについてでございます。
市民の皆様が生涯にわたって健やかに暮らしていただくため、平成27年1月5日に元気・健康都市を宣言いたしました。
この宣言を契機に本市の健康志向が高まる中、平成29年度は総合体育館のリニューアルオープン、運動公園のテニスコート6面の完成に続き、第2運動公園(旧福岡高校跡地)の体育館と格技場が3月に完成する予定となっております。
さらに、総合体育館周辺施設では、弓道場とテニスコート4面が11月オープンを目指しており、元気・健康都市としてハード面の施設整備はいよいよ終盤を迎えております。
また、ソフト面の展開としては元気・健康マイレージ事業の拡大があげられます。
健康的な生活習慣を身につけていただくため、健康づくり事業の拡大やラジオ体操の普及、健康づくり・食育・歯科口腔保健計画の策定に取り組んでまいります。
さらに、子育て世代、お年寄り、障がいのある人などが抱える様々な相談にワンストップで対応する総合相談窓口を整備してまいります。
この整備により、若い世代の社会的自立や交流、地域活動を支援するセーフティネットの拠点としての機能を持たせることで、幅広い世代の市民が住み慣れた地域で孤立せずに安心して暮らせる共生社会を実現してまいります。
また、障がい者支援として、在宅の医療的ケアや常時見守りが必要な障がいのある人の家族の負担軽減を図るとともに、就労支援センターや多機能型支援施設などの拡充に取り組んでまいります。
昨年、医療的ケアを必要とするお子さんの保護者の方と面会をしたときに、日々の生活の大変切実な状況をお聴きしました。
私は、一自治体としての支援には限界はあるものの、保護者への金銭的な負担軽減に限らず、何らかの支援策を模索していきたいと感じた次第であります。
なお、厚生労働省は平成30年度から医療的ケア児がいる家族が外出しやすいよう環境整備に乗り出すとしております。
市といたしましても足並みを揃えて取り組んでまいりたいと考えております。
そして、人生100年時代。
年齢や心身の状況にかかわらず効果的な介護予防を行うとともに、お年寄りの居場所づくりとして、子育て世代からお年寄りまで誰もがコミュニケーションの場として利用できる多世代交流型サロンを整備してまいります。
以上のような施策展開を図りながら、元気・健康の好循環のもと、子どもからお年寄りまで「生涯にわたり健やかで元気のあるまち」を目指してまいります。
安全・安心のまちづくり
3点目は、犯罪のない安全・安心なまち、そして、災害に強いまちづくりについてでございます。
私は就任以来、災害に強いまちづくりを目指して全市民参加型の総合防災訓練を毎年実施してまいりました。
平成28年度は九都県市合同防災訓練の埼玉県会場としての役割を果たし、平成29年度は二市一町の合同防災訓練を実施したところでございます。
今後におきましても市民参加型の総合防災訓練を実施してまいります。
そして、局地的豪雨による道路冠水や浸水被害を解消するため、平成24年度から計画的に雨水貯留浸透施設3か所、調整池2か所、貯留ピットと排水ポンプ施設3か所を整備してまいりました。
今後におきましても費用対効果を検証しながら引き続き取り組んでまいります。
また、平成27年度から各自主防災組織に15種類の防災資機材の配備を行ってまいりました。
引き続き、計画的な資機材の配備を推進するとともに、ふじみ野市消防団を支援し、地域防災力の充実・強化を図ってまいります。
さらに、災害時の飲料水を確保するため、福岡浄水場と大井浄水場内にある取水井戸の改修工事と水質改善に取り組むとともに、耐久性がある水道管へと順次更新してまいります。
次に、防犯対策といたしまして、市民の皆様からのご要望が多かった道路照明灯、防犯灯につきましては、LEDへの交換がほぼ終了し、市民の皆様からは「まちが明るくなった」など、喜びの声をいただいております。
今後におきましても、自主防犯団体や防犯パトロール隊のご協力を得ながら犯罪抑止に向けて児童の見守り活動の強化、タイムリーな犯罪情報の発信など様々な対策に取り組んでまいります。
また、空き家対策といたしましては、住宅政策の一環として位置付け、平成29年度から建築課内に住宅政策係を新設して取り組んでおります。
間もなく、空家等対策計画を策定いたしますので、空き家の発生予防と適正管理を進めるほか、空き家の活用として多世代交流の場や小規模保育施設などの検討を進めてまいります。
以上のような施策展開を図りながら、危機管理体制の構築により「災害に強いまち」「犯罪のないまち」を目指してまいります。
魅力と活気にあふれるまちづくり
4点目は、「住みたい」「住み続けたい」と思えるような魅力あふれるまちづくりについてでございます。
東武鉄道の資料によりますと、平成28年度の上福岡駅の乗降客数は1日平均5万6千人、そのうち駅東口を利用する人は、およそ3万人にのぼります。
私が市長に就任してから暫定的ではありますが、現状のロータリー形式により東口駅前広場を整備することができました。
しかしながら、駅前の一等地ということもあり資産価値や利用価値が非常に高く、また、上福岡市当時の交渉経緯などの影響もあり、中々整備が進展しない状況となっております。
だからと言って、歩行者や自転車を利用される方々が交通事故に遭っては大変です。
まずは安全確保を最優先に整備方法を検討し、1日も早く市の玄関口としてのイメージアップを図ってまいります。
また、公共施設の老朽化対策は、工事費用の捻出や当該施設の統廃合を含めた施設自体の必要性にまで議論が及ぶことから、全国の自治体で最大の懸案事項となっております。
こうした背景のもと、平成28年度に市内の文化施設について耐震調査を実施したところ、大井中央公民館は耐震性が満たされていないという結果が明らかになりました。
大井中央公民館は建て替えるのか、それとも耐震補強と大規模改修にとどめるのか。
そして、同様に老朽化している勤労福祉センターの改修についての有無を含めて重大な判断を迫られております。
文化芸術活動の拠点施設は、早急に検討を進めて整備に向けて取り組んでまいります。
さらに、県の空き店舗ゼロ・プロジェクトとして、平成29年度からモデル地域の指定を受け、商店会と共に空き店舗対策の検討などを実施しております。
創業希望者を支援することにより空き店舗の解消を図るとともに、商工会と連携した商店街の魅力づくりや情報発信に取り組んでまいります。
そして、運動公園や総合体育館周辺、第2運動公園などの整備を進めるとともに、地域の公園を計画的に整備・改修して、緑とゆとりの空間を確保してまいります。
また、シティ・プロモーションの推進として、プロモーションビデオの制作やテレビ、インターネットなどあらゆる情報媒体を駆使してふじみ野市の魅力を積極的にPRし、子育て世代の更なる転入増加につなげていきたいと考えております。
以上のような施策展開を図りながら、快適さやゆとりを育む緑と調和した良好な住環境を維持し、「魅力的な都市空間とにぎわいのあるまち」を目指してまいります。
市民が主体のまちづくり
5点目は、市民参加の行政運営による「地域力」「市民力」の向上についてでございます。
平成22年度から続けているタウンミーティングは、これまでに206回開催し、延べ7,386人の皆様にご参加いただきました。
今後も、引き続き開催して市民の皆様と直接対話をさせていただき、市政への理解を深めていただくとともに、皆様の意見を市政に反映させてまいります。
また、自治組織の活動を支える仕組みを充実するため、自治組織の主体性を尊重した活動を引き続き支援するとともに、会員の加入促進に継続して取り組んでまいります。
そして、合併以前から旧市町で形態が異なっている自治組織の集会施設と社会教育施設である公民館分館について、市民や学識経験者などを交え、今後のあり方について検討を進めてまいります。
また、地域活動のための学びを支援し、受講生一人ひとりがその知恵や経験を地域へ還元することで地域力が高まっていくような人材を育成する場として「市民大学ふじみ野」を平成28年度に開校いたしました。
今後は、更なる市民力の結集を図り、地域の課題解決や市民の学習ニーズに応えることで地域力の向上にもつながるものと考えております。
そして、財政運営に関しましては、これまで人件費の抑制や事務事業の見直し、計画的な合併特例債の有効活用などにより、財政の健全化を進めてまいりました。
今後は、市民の皆様からの提案や企業のアイディアの活用など、様々な手法を取り入れながら持続可能な行政経営に努めてまいります。
以上のような施策展開を図りながら、地域住民自らが地域課題の解決に向けた取組や自治組織、市民団体、NPO法人などの活動を支援することにより「地域力・市民力の高いまち」を目指してまいります。
ここまで、私の公約についてご説明させていただきました。
平成30年度に実施する施策に関しましては、後ほど各部の事業の中で説明させていただきます。
ふじみ野市を取り巻く環境
さて、内閣府が発表した平成29年10、12月期の国内総生産の速報値では、年率換算で0.5%増となり、プラス成長は8四半期連続で約28年ぶりの長さとなり、雇用環境の改善が続き、企業収益は過去最高水準にあるとしております。
世界経済は順調に成長しておりますが、足元では2月に入って米国の長期金利の急速な上昇に端を発し、世界の株式市場は不安定な相場が続き円高傾向にあります。
こうした海外経済の不確実性や金融資本市場の変動は、日本経済に影響を及ぼすことが懸念されます。
引き続き先行きには留意してまいります。
国・県との連携
また、国の平成30年度一般会計予算案は、総額97兆7,128億円と6年連続で過去最大を更新しており、前年度当初と比較して約2,600億円の増加となり、高齢化によって社会保障費が過去最大となっております。
昨年、国の経済財政諮問会議において、地方自治体の基金残高が21兆円を上回ることについて、「国と地方の資金配分を再考すべき」という議論がなされました。
ふじみ野市を含め地方自治体は、公共施設の老朽化対応や効率的な行財政運営のための市町村合併に加え、事業の選択と集中をベースに行財政改革に取り組み、行政のスリム化を血のにじむような思いで進め、基金として積み上げてきた訳であります。
最終的に基金残高の増加を理由とする地方交付税の削減は見送られたところでありますが、今後は基金の活用を迫られることも視野に入れた中で行政運営に当たらなければならないと考えております。
そして一方では、国は子育て世代、子どもたちのために大胆に政策資源を投入するとし、県においても平成30年度予算を未来への投資と位置づけ、結婚・出産・子育ての切れ目のない支援の充実を掲げております。
子育て政策に力点を置く我が市にとりましては、このチャンスを見逃すわけにはまいりません。
しっかりと国・県の政策メニューに注意を払ってまいりたいと思います。
平成30年度予算の概要
さて、本市の平成30年度一般会計予算案は、404億1,673万円で前年度と比較して、24億9,197万9千円の増額、増減率では6.6%のプラスとなり、当初予算としては過去最大の予算規模となりました。
その主な要因といたしましては、地域振興基金造成事業が約23.3億円、民間保育園運営支援事業が約29.2億円、総合体育館を中心とするスポーツゾーンの整備事業が約4.5億円、ふじみ野市運動公園及び第2運動公園の整備事業が約9.4億円、小学校大規模改造事業が約2.9億円などとなっております。
歳入面では、人口増加と景気動向を反映した納税義務者数の増加に伴う個人市民税の増収、また、固定資産税は家屋の評価替えによる減額が見込まれるところでありますが、新築住宅等の増加や設備投資の増加を反映するなど、市税全体では約160億円となり、前年度予算と比較して約6千万円の増収を見込んでおります。
なお、市債については、市民の連帯強化や地域振興をより一層図る目的で地域振興基金を新たに設置して合併特例債を活用するほか、第2運動公園の整備をはじめ、弓道場の建設、ふじみ野市運動公園の再整備、小学校の校舎増築及び大規模改造事業等、総額約65億5千万円の発行額を見込んだところでございます。
それでは、平成30年度の主な事業について説明させていただきます。
なお、先ほど私の公約の中で申し上げた施策のうち、平成30年度に実施するものについては重複する部分もございますのでご了承いただければと存じます。
平成30年度の取組 ー 主な事業 ー
1総合政策部
初めに、総合政策部所管の主な取組についてお話しいたします。
本市の最上位計画・ふじみ野市将来構想from2018to2030は、「安全と安心」「地域力」「環境」の3つをまちづくりの理念とし、各分野がその理念をベースに施策展開を図っていくこととなります。
従来の最上位計画との違いの一つといたしましては、各分野が施策展開を図っていく中で、それを支えるための的確な情報発信や情報収集、そして、「ひと・もの・かね」の経営資源をいかに効果的に投下していくかという視点も取り入れております。
それらを踏まえ、平成30年度は新たな計画の進捗管理を行うために行政評価システムなどの見直し作業を進め、翌年度からは新たな視点での評価と進捗管理を図り、市民の皆様が住み続けたいと思えるまちを目指してまいります。
次に、合併特例債の活用については、合併の効果を最大限に発揮するため、本定例会に地域振興基金条例を提案させていただきました。
本条例案をご審議、ご可決いただいた後は、当該基金を活用して将来構想の取組をより一層推進してまいります。
続いて、「オールふじみ野」未来政策会議についてでございますが、従来の提案型会議からステップアップを図ります。
市民の皆様が感じている本市の魅力的な場所や物、風景、人物などを市民自らが幅広くPRする実践編として、平成29年度と平成30年度の2か年をかけまして冊子や動画などの企画・制作を進めているところでございます。
行政パートナーの確立を目指した、この「オールふじみ野」未来政策会議そのものが本市の魅力の一つであり、この魅力を参加された皆様を通して一人でも多くの方々に広がっていくよう取組を進めてまいります。
2総務部
次に、総務部所管の主な取組についてお話しいたします。
先ほども述べさせていただきましたが、台風第21号の教訓から大雨等による浸水被害が想定される地域を対象に、自治組織及び自主防災組織と協働し、台風や近年多発する局地的豪雨による道路冠水、住宅への浸水被害を想定した水防訓練を実施いたします。
訓練では、水害時の指定避難場所の確認や水害時にとるべき避難行動、避難行動要支援者等の安否確認と避難誘導、地区対策本部の設置・運営などを行いたいと考えております。
また、昨年11月、地震災害を想定した二市一町の合同防災訓練を実施し、行政境での避難所の開設訓練などを行ったことにより、近隣との協力体制の必要性を改めて認識することができました。
平成30年度は本市単独での各地域を中心とした実践型訓練とし、自主防災組織の活動、市民の避難、避難所の設置・運営訓練などを行い、引き続き市民の防災意識の向上と自助・共助の強化を図ってまいります。
次に、防災倉庫の整備では、旧上福岡学校給食センターの跡地に集中管理型の防災倉庫を新設いたします。
市内各所で保管している食料や毛布、防災資機材を1か所にまとめ、集中管理することにより、災害発生時の迅速な対応が可能になるものと考えております。
また、災害に関する市民への情報伝達を充実するため、Jアラート新型受信機を導入いたします。
これにより、大地震発生時など処理すべきデータ量が膨大な場合でも瞬時に情報処理が行えることとなり、市民への安定した情報伝達が可能となります。
続いて、防犯対策につきましては、犯罪発生件数が平成17年の2,451件をピークに減少し、平成29年には908件と治安は改善してきております。
これは、自治組織の皆様や防犯ボランティアの方々による防犯意識啓発キャンペーンの実施や青色防犯パトロールカーでの市内パトロール、児童の見守りパトロールなどの成果であると思っております。
地域の安全・安心を守るため、今後も防犯啓発活動と防犯ボランティア活動の支援を継続してまいります。
一方、振り込め詐欺など高齢者を狙った特殊詐欺被害は、全国的に増加傾向にあります。
本市においても平成27年17件、被害総額3,724万円、平成28年18件、被害総額5,172万円、平成29年21件、被害総額2,648万円と、毎年被害件数が増加しております。
このような特殊詐欺被害の防止対策として、固定電話に取り付ける振り込め詐欺等対策器機の設置を広く呼びかけるとともに、購入費の補助を行うなどの普及促進を図り、高齢者の安全と安心に向けて取組を強化してまいります。
続いて、上野台公園及び旧上福岡学校給食センター跡地の活用についてでございます。
国有地である上野台公園につきましては、今後、公用車の駐車場として整備していくために用地を取得いたします。
また、旧上福岡学校給食センター跡地につきましては、解体後、一部を公用車の駐車場として整備するほか、四つの施設として活用してまいります。
一つ目は上野台公園の代替として同等の機能を有する新たな公園の設置、二つ目は児童数の増加に伴う上野台小学校増築校舎の敷地として、三つ目は先ほど述べさせていただきました集中管理型の防災倉庫に、そして、四つ目はフクトピアの駐車場として整備し、施設利用者の利便性の向上を図ってまいります。
3市民生活部
続きまして、市民生活部所管の主な取組についてお話しいたします。
初めに、市民窓口サービスについてでございます。
平成29年度は、本庁及び大井総合支所等の市民窓口において、翻訳や筆談機能があるタブレット端末を導入し、外国人や聴覚に障がいのある人との良好なコミュニケーションが取れる環境を構築するとともに、マイナンバーカードが気軽に取得できるように写真撮影と代行申請のサービスを実施するなど、多くの方々に喜んでいただけるよう努めてまいりました。
さらに、婚姻届を提出される方のために、オリジナルの「ふじみん婚姻届」と「記念撮影用結婚記念プレート」を作成し、本日、3月1日から新たな門出を迎えたお2人をお祝いするサービスを開始いたしました。
今後におきましても、市役所の顔として、市民に喜ばれ、親しまれる窓口サービスの提供に努めてまいります。
また、大井総合支所におきましては、「市民相談コーナーオアシス」の体制整備や児童扶養手当の受け付けを開始するなど、新たな市民ニーズに応じた行政サービスの充実に取り組んでまいりました。
平成30年度からは、休日開庁において新たに収納業務の取り扱いを開始いたします。
これからも、地域の要望を的確にとらえながら、地域に根差した親しみのある大井総合支所を目指してまいります。
次に、男女共同参画の推進につきましては、この度、平成30年度を計画初年度とする「第2次男女共同参画基本計画」を策定いたしました。
本計画は、市の女性活躍推進計画やDV防止基本計画、更に性的マイノリティへの理解促進と支援、男女共同参画の視点に立った防災対策の推進等も加えた総合的な計画となっております。
本計画を着実に推進し、「だれもが自分らしく活躍するまちふじみ野」の実現を目指してまいります。
また、近年におけるDV相談の増加に対応するため、平成30年度から「女性のためのDV・総合相談」の相談日については週2日から週3日へと増設し、必要な支援など、迅速に対応できる相談体制も強化してまいります。
続いて、消費生活につきましては、近年、架空請求による詐欺被害やスマートフォンなどの利用におけるトラブルなど、消費者被害の内容も複雑かつ巧妙化してきております。
そのため、消費生活相談員体制の充実を図り、国基準を超える週5日の相談日を設けております。
平成30年度は、新たに消費者安全確保庁内推進会議を設置し、地域連携による消費者被害の防止、特に高齢者等の被害防止と啓発を強化してまいります。
次に、国民健康保険につきましては、いよいよ4月から、都道府県が財政主体となって市町村と共に運営する、いわゆる「国民健康保険の広域化」がスタートいたします。
今後は、県が定める納付金を市町村が納めるとともに、市町村ごとの標準的な保険税率が毎年県から示されることとなります。
これに基づき、税率の適正な設定による計画的・段階的な赤字の解消が求められておりますので、税負担の急激な増加を生じさせないよう考慮することも含め、国民健康保険運営協議会におけるご意見などを伺いながら慎重に対応してまいります。
さらに、国民健康保険における子育て施策といたしまして、平成30年度から第3子以降の均等割りを減免する県内初の国保税軽減措置を実施し、多子世帯の子育てを支援してまいります。
また、窓口サービス向上のため、8月を目標に、国民健康保険、後期高齢者保険、年金業務の統合と窓口業務委託の整理・拡大を行うことにより、関連手続きのワンストップ化を進めてまいります。
4市民活動推進部
続きまして、市民活動推進部所管の主な取組についてお話しいたします。
最初は、協働のまちづくりの推進についてでございます。
協働のまちづくりに欠かせないのは「市民力」であります。
平成29年度においては、市民力の更なる向上のため、「協働のまちづくり推進指針」を策定するとともに、新たに女子栄養大学や市内郵便局と包括連携協定を締結いたしました。
平成30年度においても更に多くの大学や企業との協定を締結し、産学官の連携による協働のまちづくりを推進してまいります。
また、自治組織の集会施設につきましては、活動の拠点であることから平成29年度は、はけ自治会と富士見台町内会の施設整備を支援してまいりました。
平成30年度は、自治組織の運営支援として、集会施設の光熱水費の補助を現在の3分の2から全額補助に拡大いたします。
さらに、鶴ケ岡コミュニティセンターの利便性の向上のために、隣接する七彩緑地広場の一部を駐車場として整備し、22台分の駐車スペースを確保いたします。
続いて、文化とスポーツの振興についてでございます。
文化芸術活動の拠点施設である大井中央公民館と勤労福祉センターのそれぞれのホールにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、老朽化が進み、耐震性も満たされていないため、対策を急がなければなりません。
平成30年度は、専門家の意見を伺いながら、早急に具体的な整備方針などを策定してまいります。
また、文化振興策といたしましては、プロの芸術家を学校に派遣するアウトリーチ事業を教育委員会と連携し本格的に取り組みを開始するとともに、プロの芸術家の方々に指導していただきながら、一緒に創作活動に取り組む「子どもアートチャレンジ」を継続して実施いたします。
そして、アート・フェスティバルは、平成30年度から市内在住のプロの芸術家の方々に広く参加を呼びかけ、市民の皆様に質の高い文化芸術を身近な場所で提供できるよう、期間を2日間に拡大して充実を図ってまいります。
さらに、平成30年度は、市民の文化芸術活動への支援制度について検討を進め、市の文化振興事業の活性化と環境づくりに取り組んでまいります。
続きまして、先ほども少し述べさせていただきました総合体育館を中心とするスポーツゾーンの整備についてでございます。
県内では数少ないアーチェリー練習場を併設する新弓道場の建設、そして、武蔵野テニスコートの人工芝への改修工事に加え、駐車場と外構整備を進めてまいります。
また、上野台体育館につきましては、屋根の大規模改修と共に天井及びアリーナの改修工事を進め、安全・安心なスポーツ環境を整備してまいります。
さらに、ソフト面でのスポーツの推進といたしましては、乳幼児期から発達段階に応じたスポーツ教室の開催、障がいのある方や高齢者をはじめ、全ての市民が元気・健康づくりに気軽に取組むことができる環境を整備してまいります。
また、ふじみ野市から世界に羽ばたくジュニア・アスリートの発掘・育成を図るため、指導者とボランティアの指導技術などの向上を図る研修会を引き続き開催し、スポーツ人材バンクの整備につなげたいと考えております。
次に、環境の分野に関する取組についてでございます。
平成30年度は、第2期環境基本計画・前期行動計画と第3期一般廃棄物処理基本計画に基づく施策展開が始まります。
環境にやさしく、日本一ごみの少ないまちを構築するためには、市民一人ひとりが環境に関心を持ち、限られた資源を大切に使うことなどの実践が大切であります。
その実現のために、引き続き、環境教育と環境学習に力を入れてまいります。
また、平成28年にオープンいたしました環境センターは、子どもから大人まで2万人余りの方が来場し、施設見学を通じて、ごみの減量や分別の大切さを再認識いただいております。
平成30年度におきましても、好評をいただいている環境講座は、天体望遠鏡で観察する星空教室など、楽しみながら環境の大切さが記憶に残るような講座を年間50回開催する予定でございます。
さらに、昨年5千人が来場したエコラボフェスタを7月に開催するとともに、新たに3Rをテーマにした「エコパ&えこらぼINフリマ」を開催いたします。
また、これまで維持管理を続けておりました市の一般廃棄物最終処分場につきましては、閉鎖に向けたモニタリング業務を行ってまいります。
続きまして、産業経済の振興についてでございます。
企業立地の取組につきましては、市内企業のデータベース化や企業ガイドを作成することにより、新規雇用の創出と地域経済の活性化を図ってまいります。
次に、農業支援策といたしましては、農業生産改善事業への補助制度を引き続き行ってまいります。
また、平成30年度からは、多面的機能支援補助金を創設し、優良農地の改修や施設整備等に効率的に活用してまいります。
また、市内全域を網羅する農業振興地域整備計画の改定も行い、今後の農地のあり方について研究してまいります。
5福祉部
続いて、福祉部所管の主な取組についてお話しいたします。
初めに、地域福祉に関しましては、計画に基づき高齢者や障がいのある人、子育て世代やひとり親家庭、外国籍市民、生活困窮者など、生活上の困難を抱える市民が地域において自立し、安心した生活を送ることができるよう分野を越えた多機関の協働による包括的な支援体制を構築してまいります。
この体制は、生活困窮者の支援窓口を中心として、高齢、障がい、子どもなどの多様な分野の支援機関相互の連携を強化し、更に住民主体型の支援とのネットワークを構築するものであり、社会福祉協議会と共に一体的に取り組んでまいります。
支援窓口には、新たにコミュニティ・ソーシャルワーカーを配置し、他の支援コーディネーターと連携しながら支援の橋渡し役として包括的な支援を効果的に進めていくとともに、新たな支援サービス等の地域資源の開拓や住民の福祉活動を支援するなど、地域福祉のセーフティネットの重層化を図ってまいります。
次に、子どもの貧困対策の推進につきましては、「子どもの未来応援プラン」に基づき、貧困の連鎖を防ぐ施策を強化してまいります。
生活保護世帯や生活困窮世帯、ひとり親家庭等を対象とした子どもの学習支援事業では、対象生徒数や開催回数を拡充するとともに、学習の習熟度や将来のキャリア教育を見据えた指導方法を工夫し、心理的なケアも重視するなど学習環境の充実を図ってまいります。
次に、障がい福祉についてでございます。
障がいのある人の就労支援につきましては、求人に応募して内定から入社するまでの「就活支援」と同様に、継続して働き続けるための「職場定着支援」が大切になります。
発達障がいや精神障がいのある人の場合、働く場面だけでなく生活の中で不安感が増すことで、働き続けることが難しくなってしまうケースが少なくありません。
こうした状況を踏まえて、国では平成30年度から新たに「就労定着支援」が創設されます。
障がい者就労支援センターにおいても利用者の方が年々増加する中、職員体制を充実して一般就労支援の強化を図ってまいります。
医療的ケアに関しては先ほども少し述べさせていただきましたが、在宅において看護する場合には保護者の方が医療的ケアを行い、こうしたお子さんが学校に通うためには保護者の方が付き添わなければなりません。
そのような保護者の方の身体的、精神的な負担を軽減するため、看護師派遣に要する費用の助成を新たに行ってまいります。
続いて、高齢者施策についてでございます。
平成29年度は、第7期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画を策定いたしました。
計画上の推計によりますと、まさに平成30年度を境として、前期高齢者と後期高齢者の割合が逆転し、高齢者に占める後期高齢者の比率が高くなってまいります。
現在の本市の後期高齢者の要介護及び要支援の認定率は約24%と高い割合を示していることから、高齢者の方がいつまでも地域で元気に過ごすためには、自立支援や重度化防止に向けた取組を充実させていくことが急務であります。
そのような中、介護予防に総合的に取り組む拠点として、(仮称)介護予防センターを設置することといたしました。
施設では、高齢者の状態に応じた各種介護予防教室を展開するとともに、市内全域で、市民が主体となって介護予防に取り組めるよう指導者やサポーターを養成していく方針であり、平成30年度には施設整備工事を行い、平成31年度から事業を開始いたします。
また、後期高齢者の増加などに伴って、一人暮らしの高齢者の方も増加しております。
そうした皆様が在宅で安心して暮らせるよう、高齢者見守りネットワーク事業や救急医療情報キット配布事業などを実施してまいりました。
平成30年度からは、高齢者の緊急事態に備える事業として、新たに「高齢者あんしん台帳整備事業」を開始いたします。
これは、一人暮らしの後期高齢者の親族の緊急連絡先や既往症などを台帳化し、急病などの緊急事態には速やかに連絡をとることができる仕組みとして導入するものでございます。
いつまでも住み慣れた地域で、できる限り自立した生活が続けられるよう、こうした事業を行いながら地域包括ケアシステムの構築を推進してまいります。
6こども・元気健康部
続いて、こども・元気健康部所管の主な取組についてお話しいたします。
平成29年度は、上野台子育て支援センターと保健センターとの連携の下、子育て世代包括支援センターを新設し、妊娠から出産、子育て期にわたる切れ目のない支援を行ってまいりました。
そして、平成30年度には2か所目の支援センターを大井保育所の北側にオープンいたします。
この施設では、従来の利用者支援に加え、保健師を配置して子育て支援のワンストップ化を図ってまいります。
このことにより、市内全域において妊娠届け出時から保健師などによる個別面談を行うことが可能となり、面談結果に応じて必要な方には、出産や出産後の子育て期にわたるケアプランを作成しながら様々な支援を展開することができるようになります。
こうした地域拠点の拡大により、増加が続く児童虐待の早期発見、そして、療育を必要とする子どもの早期発見と早期療育につながるものと考えております。
また、児童発育・発達支援センターでは、就学目前の5歳児を対象とする療育事業やペアレント教室、民間保育園への巡回相談について、それぞれ回数を拡充して取組を強化してまいります。
次に、平成32年度から始まる第2期子ども・子育て支援事業計画を策定するため、市民意識調査を実施するとともに、現計画により進めてきた3年間の総合評価も行ってまいります。
続いて、放課後児童クラブにつきましては、亀久保放課後児童クラブを建て替えるとともに、西原放課後児童クラブを校舎内に移設し、施設の環境整備を進めてまいります。
次に、保育所の待機児童対策についてでございます。
平成30年度の見通しは、概ね220人の定員増を図ったことにより、前年同時期に比べ、直近の1次選考の状況は大幅な改善が見られました。
さらに、新設の民間認可保育園に隣接する形で、療育が必要なお子さんを支援するための通所施設も同時に開所いたします。
こうした多様なニーズに応えていくことができる民間保育園への支援策として、引き続き専門コンサルタントによる巡回指導相談業務を実施してまいります。
続きまして、元気・健康に関する取組についてでございます。
平成30年度からスタートする「ふじみ野元気・健康プラン」につきましては、健康増進、食育推進、歯科口腔保健、いのち支えあい(自殺対策)の4本の柱により、具体的な目標や取組内容、成果指標などを盛り込んだ計画として策定する予定でございます。
この計画の特徴といたしましては、健康増進分野や歯科口腔保健分野といった既存の個別計画と新規に策定する食育推進計画を一つの計画としてまとめることにより、施策を連動させ、一体的に進めるものでございます。
また、子どもを望む夫婦の不妊治療の助成について、長期に渡る経済的負担を軽減するため、対象年齢や助成回数を拡大して、県内トップクラスの支援を行ってまいります。
さらに、出産後の育児不安などで産後うつの状態に陥らないよう、質問票によるケアを全ての産婦に実施し、産後うつ病の予防と早期発見に取り組んでまいります。
7都市政策部
次に、都市政策部所管の主な取組についてお話しいたします。
まず初めに、都市計画マスタープランの策定についてでございます。
現行のマスタープランは平成22年に策定いたしました。
その後の社会経済情勢の変化や市の将来構想の策定を受け、まちの将来像を実現するための新たな計画を平成31年度までに策定いたします。
また、策定に当たりましては住民アンケートや市民懇談会などを実施し、市民の皆様のご意見を反映させた内容となるよう取り組んでまいります。
次に、上福岡駅東口の駅前整備につきましては、自動車、自転車、歩行者の交通量調査を行うなど、駅前にふさわしい利便性の高い環境となるよう「上福岡駅前広場整備構想」を立ち上げ、具体的な整備計画案を策定して関係機関や地権者との合意形成に取り組んでまいりました。
平成30年度は、安全性、利便性、コストなどに考慮しながら、整備に向けた具体的な設計を進めてまいります。
続いて、国道254号バイパス沿道地区の産業団地創出につきましては、企業誘致による将来的な自主財源の確保と雇用の創出が期待されております。
事業の実施に当たっては、本市の特性やニーズにおいて適切に対応できる業務代行者を事業パートナーとして選定することが重要でございます。
このため土地区画整理組合準備委員会を支援し、先進地視察や勉強会、地権者の意向調査を実施することにより、本事業に最も適した選定方法を研究してまいりました。
今後も引き続き、事業の早期実現に向けて県と協議・調整を進めてまいります。
次に、上沢勝瀬通り線整備事業でございます。
現在まで、3件の地権者にご協力いただき、用地を取得するとともに、関係機関と協議を行いながら県道との接続箇所について設計を進めてまいりました。
上沢勝瀬通り線は、通学路の安全確保やふじみ野駅へのアクセス性の向上など整備効果の高い路線のため、引き続き、早期の供用開始を目指して取り組んでまいります。
また、亀久保交差点改良事業につきましては、平成30年度中の整備完了を目指し、残る1件の用地引渡しや、その後の工事が速やかに実施できるよう引き続き県と連携を図ってまいります。
続いて、交通政策関連についてでございます。
最初に、市内循環ワゴン「ふじみん号」の運行については、平成29年度から本格運行を開始したところ、徐々に利用者が増え、10月末には前年度の年間利用者数を上回るなど、多くの方にご利用いただいております。
今後におきましても、多くの皆様に便利で快適にご利用いただけるよう、利用者の要望把握に努め、改善に向けて検討を進めてまいります。
次に、ゾーン30については、既に市内で指定されている3区域に加え、平成29年度から駒西小学校周辺地区についても指定を進めております。
今後も当地区のゾーン30区域の拡大を進め、歩行者や自転車、通学児童の安全確保を図ってまいります。
続いて、公園整備についてでございます。
運動公園の整備につきましては、弓道場を解体してプール跡地を加えた土地に、フットサルコート2面とスリー・バイ・スリーのバスケットボールコート2面を整備してまいります。
また、南側拡張部につきましては、こども広場と貯留施設の整備工事を進めてまいります。
次に、新たな公園の整備についてでございます。
第2運動公園につきましては、旧福岡高校の校舎の解体工事が終わり、体育館の改修工事、格技場の耐震補強・改修工事などを行っており、4月には「ふじみんアリーナひこぼし」としてリニューアルオープンいたします。
グラウンドにつきましては、サッカーや野球が楽しめる多目的球場をはじめ、多目的広場と子ども広場の整備工事を実施いたします。
また、丸山地区の内田児童公園につきましては、子どもたちの遊び場、高齢者の憩いの場として利用され、また、緊急時の避難場所の役割も果たすなど、この地域には無くてはならない公園となっております。
しかしながら、借地公園であり、借地の継続が困難となったことから地元自治組織からは800名を超える署名が添えられ、土地の取得の要望書が提出されております。
市といたしましては、将来の複合的な利用も視野に入れ、購入に向けて手続を進めてまいります。
続いて、全国各地で社会問題となっている空き家の対策についてでございます。
本市においては、大規模な開発を契機に首都圏のベットタウンとして飛躍的に発展してまいりました。
以来、40年以上が経過し、老朽化した住宅の増加とともに空き家も増え続けております。
今後は、空家等対策計画に基づき、倒壊等著しく危険な空き家については指導を強化するとともに、住環境の向上に取り組んでまいります。
次に、道路関係につきましては、市道第5-85号線、大井中学校からふじみ野高校入り口までの約400メートルを拡幅する事業として、平成30年度は用地測量を実施し、早期整備に向けて取り組んでまいります。
続いて、橋りょう長寿命化修繕計画に基づく福岡橋耐震補強工事についてでございます。
橋りょう下部の橋脚補強は、平成30年6月末までに完了する予定でございます。
また、橋りょう上部の耐震補強は、平成30年度から2か年で工事を実施し、甚大な被害が起きても緊急輸送道路が確保できるよう整備を進めてまいります。
次に、雨水対策についてでございます。
初めに、災害復旧事業といたしましては、12月定例市議会において排水ポンプ車の購入や亀久保三丁目遊水池修繕事業などの補正予算をご可決いただき、現在、迅速に事務を進めているところでございます。
また、江川流域都市下水路の浸水被害に係る復旧事業費におきましては、国の災害復旧に係る交付金を確保できる見込みとなりましたので、今議会の補正予算案に計上させていただきました。
また、先ほど申し上げましたとおり、「台風第21号内水浸水検証委員会」を川越市とともに設置し、浸水メカニズムの検証や今後の内水排水対策の各種施策の検証を進め、引き続き、国や県にも協力をいただきながら内水対策をより強固なものとし、浸水被害の軽減対策に取り組んでまいります。
次に、雨水対策事業といたしましては、これまで大井武蔵野地区では大井西中学校付近に約8,000立方メートル、県道狭山ふじみ野線付近に約10,200立方メートルの調整池を整備いたしました。
平成30年度は、亀久保大野原地区の自衛隊大井通信所西側に約10,800立方メートルの3基目の調整池の整備に向けて用地買収と実施設計を行い、平成31年度の完成を目指して進めてまいります。
こうした事業により、県道付近の浸水被害を軽減し、江川流域都市下水路の下流域にあたる元福岡地区の浸水被害の軽減にもつながるものと考えております。
また、西鶴ケ岡地区では、3基目の雨水貯留浸透槽の設置工事が完了し、新たに4基目の工事を計画しております。
付近の道路冠水の防止と併せて、福岡江川下流部における浸水被害を軽減する効果も期待しているところであり、引き続き効果を検証し、更なる増設の必要性などを見極めてまいります。
さらに、新規事業として、滝・中丸地区の浸水被害の軽減に向けて、滝ゲートポンプの排水量を現行の2倍に拡大する改修工事を実施いたします。
次に、汚水管の長寿命化についてでございます。
下水道の機能が停止しますと日常生活や社会活動に重大な影響を及ぼすため、ライフサイクルコストの最少化と予算の最適化の観点も踏まえ、予防保全型管理を行うとともに、下水道施設全体を一体的に捉えた計画的・効率的な維持管理及び改築を推進するためのストックマネジメント計画を検討してまいります。
そして、水道事業につきましては、震災対策として、大井浄水場第2配水池の耐震補強工事が完了しましたので、平成30年度は福岡浄水場第4配水池の耐震補強工事の実施設計を行い、翌年度からの工事に向けて取り組んでまいります。
これからも災害に強い浄水場施設の構築を進めてまいります。
8教育部
最後に、教育部所管の主な取組についてお話しいたします。
まずは、次代を担う子どもを育む政策の一つとして、これまでも力を入れてまいりました小中学校の環境整備についてでございます。
学校の大規模改造工事につきましては、平成29年度から実施しております元福小学校の工事については、平成30年度も引き続き行ってまいります。
また、平成29年度に設計を行いました駒西小学校につきましては、平成29年度の国の補正予算による老朽化対策の財源を活用し、平成30年度から平成31年度の2か年をかけまして工事を行ってまいります。
さらに、平成31年度から実施する西小学校の工事に向けて、設計を実施いたします。
なお、上野台小学校につきましては、児童数の増加に伴う教室数不足が見込まれることから、旧上福岡学校給食センター跡地の一部を活用し、増築による対応を図ってまいります。
中学校の環境改善といたしましては、平成29年度の国の補正予算によるトイレの洋式化財源を活用し、花の木中学校のトイレ改修工事を実施いたします。
また、ソフト面では、発達段階に課題のある児童・生徒が近年増加傾向にあり、学級運営に影響が出ていることから支援員の増員を図ります。
次に、就学援助費につきましては、平成29年度に小中学校への新入学用品費を前倒しで支給することに変更したところでございますが、平成30年度からは中学生のクラブ活動費についても支給することとし、対象を拡充いたします。
さらに、高校・大学への入学準備金と奨学金貸付の制度につきましては、対象を拡大した上で、日本政策金融公庫などから借り入れた返済金の利子を補給する制度に改め、就学に係る経済的負担の軽減を図ってまいります。
続いて、地域協働学校についてでございます。
本市では、教育委員会と市長部局との協働により、保護者や地域の方々の力を学校運営に活かし、「地域とともにある学校づくり」を推進させるための地域協働学校への転換を進めております。
平成29年度には上野台小学校と東台小学校の2校をモデル校に指定し、調査・研究を進めてまいりました。
平成30年度中には、これらの学校で正式に学校運営協議会が立ち上がります。
こうしたモデル校の実践を踏まえまして、将来に向けて地域の実態に即した地域協働学校を広げていきたいと考えております。
次に、文化財の活用につきましては、平成29年度に国の地方創生拠点整備交付金を活用し、福岡河岸記念館と旧大井村役場庁舎の改修を行いました。
今後は、福岡河岸記念館では回漕問屋福田屋の主屋を利用して、藍染や機織、竹細工、ほうき作りなどの体験学習や演奏会などを実施するとともに、旧大井村役場庁舎においては多目的なイベントスペースとしても活用し、事業展開をしていきたいと考えております。
いずれの施設も、歴史文化に触れ、いにしえに思いを馳せる機会を提供する施設として活用してまいります。
引き続き、各教育施策につきましては、教育委員会と連携して取り組んでまいります。
結びに
さて、内閣府は1月23日に開いた政府の経済財政諮問会議に、中長期の経済財政に関する試算を提出し、財政健全化の指標である、国と地方のプライマリーバランスについて、昨年7月時点では2025年度に黒字化すると試算しておりましたが、2027年度へと2年間先送りとなりました。
消費税10%への増収分の一部を教育無償化などに回すこととなり、借金の抑制ペースが鈍化することが影響しています。
当初、増収分の多くを借金返済に使って財政の債務負担を減らし、将来にわたり安定的に社会保障費を確保するのが目的だったはずであります。
財政再建を後回しにする政策変更は、納得のいくものではありません。
政府が2025年問題をどの程度本気で考えているのか理解に苦しむところであります。
2025年には、約800万人いるとされる団塊の世代が後期高齢者となり、全人口の4人に1人は75歳以上という超高齢化社会へ突入することになります。
そして、厚生労働省の試算では、今後2025年問題が進むと2050年には、ひとりがひとりを支える、いわゆる「肩車型の社会保障財政」になると言われております。
こうした国家的にも困難な局面が刻一刻と迫っています。
国の流れがどのように変わろうとも、私たちは超高齢化社会に備え、足腰の強い自治体を構築し、どのような状況の変化にも対応できる、そして、乗り越えていくことができるふじみ野市を築き上げていかなければなりません。
「このまちで暮らす全ての市民が一つの家族のようなあったかいまちにしたい」
「そして何より大切なことは、子どもたちの笑顔を増やすこと」
合併による財政優遇措置の期限が迫る中、私は、更なる行政の効率化、将来を見通した事業への選択と集中、そして、限りある財源を有効に配分し、長期的な視点に立った行政経営が必要であると考えております。
このことをしっかりと肝に銘じ、決意を新たに、全身全霊を注いで取り組んでいく所存であります。
市民の皆様、そして、ここにお集まりの議員の皆様におかれましては、なお一層のご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げまして、私の平成30年度施政方針とさせていただきます。
平成30年3月1日
ふじみ野市長 高畑 博
更新日:2024年03月07日